2018 Fiscal Year Research-status Report
Planning and practicing school-based water literacy education in the event of a disaster
Project/Area Number |
18K02944
|
Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
野崎 健太郎 椙山女学園大学, 教育学部, 准教授 (90350967)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 学校 / 災害 / 水利用 / 環境水 / 水リテラシー / 避難所生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
名古屋市千種区星ヶ丘小学校区と豊田市梅坪小学校区を調査対象にして、災害時の環境水利用可能性について検討した。まず、国土交通省水質・水文データベースおよび愛知県公共用水水質調査のデータベースを利用し、調査対象周辺の環境水の水質について10~20年分の測定値をとりまとめた。星ヶ丘小学校区の周辺には公共機関が測定を行っている河川が無く、ため池が主要な環境水であった。梅坪小学校区は、矢作川とその支流である籠川が流れ充分な環境水が存在していた。BOD値、COD値、硝酸態窒素濃度、大腸菌群数からは、環境基準のC~D段階であり、実際の利用には工夫が必要であることがわかった。 続いて、両小学校および千種区役所、名古屋市水道局、豊田市役所に聞き取りを行い、想定される避難者数、水の備蓄状況、災害時の水供給の計画案を明らかにした。水の備蓄量は、乏しく、実際には市民が自身で備蓄することを前提にしていた。災害時には、給水車を派遣する計画であったが、地震発生時の道路状況の予測が不十分であり、計画倒れとなる可能性が示唆された。これら聞き取り情報からは、災害時、特に東海地方で懸念される大地震発生時には避難所において確実に水が不足し、それが10日~2週間という長期間に及ぶことが考えられた。これらの情報を市民に伝え水リテラシーの向上を図ることが求められる。 梅坪小学校区の利用可能な環境水となる矢作川は、多くのダムが設置されており、それが水質に影響を与えていることが推測されていた。特にダムによって生じた止水域で植物プランクトンが増殖し、それが流下している可能性が考えられた。調査の結果、毎年3月~5月にかけて、浮遊珪藻Asterionella formosa、Fragilaria crotonensisが大量に流下し、河川水の濁度を上昇させていることが明らかになった(野崎・白金,2019,矢作川研究23号掲載)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画案では、構築した環境水のデータベースをGISベースで駆動することを予定していたが、そこがまだ未着手であるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
星ヶ丘小学校区では、周囲に公共機関が定期水質測定を行っている環境水が無く、新たに探索した結果、平和公園内に湧水を水源とする小河川が水資源確保の候補になると考えられた。この河川は、水質が測定されていないため、独自にCOD、硝酸態窒素濃度、大腸菌群数の測定を行うことにする。梅坪小学校区では、矢作川支流の籠川が環境水の採取に利便性が高いため、更に詳細な情報を得るために2019年1月から月1~2回の観測を行い、季節的な変化を含め、環境水の安全性を検討する。 環境水を安全に利用するための簡便な浄化装置の試作を行う。基本は浄水場の緩速濾過池の原理を利用する。合わせて市販の緊急用浄水器を試験し、その利用可能性を検討する。濾過では、大腸菌群の除去が難しい、そこで濾過水の熱殺菌の条件確定を行う。災害時には、がれきを用いたたき火での熱処理になるが、なるべく低温、短期間での加熱が望ましい。その条件は未だ不確定のため、検討する必要がある。 データベースのGIS利用に着手する。
|
Causes of Carryover |
GISによる水質水文データベースの構築が未着手であり、物品費および構築に関わる人件費を繰り越した。
|