2019 Fiscal Year Research-status Report

実践的に制御理論を学ぶための教材とカリキュラム開発

Research Project

Project/Area Number	18K02949
Research Institution	Maizuru National College of Technology
Principal Investigator	川田昌克舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (90311042)
Project Period (FY)	2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords	制御工学 / カリキュラム開発 / 教材開発 / LEGO MINDSTORMS / Arduino / MATLAB/Simulink
Outline of Annual Research Achievements	本研究では，難解な「制御工学」を実践的に学ぶための教材開発を行っている．研究申請者は，これまでに，LEGO MINDSTORMS EV3 および LEGO PowerFunctions の XL モータ，サードパーティの LEGO 用エンコーダ GlideWheel-M を利用した回転型倒立振子の開発を行ったが，XL モータや GlideWheel-M の製造が中止になったため，汎用のモータやエンコーダの利用を検討してきた．このような背景のもと，本研究では，LEGO の部品で筐体を作成し，加工することなく汎用の小型モータやエンコーダを取り付けることで，特別な技術が不要な回転型倒立振子の開発を進め，倒立制御が実現できることを確認した．しかし，汎用のモータを EV3 のインテリジェントブロックに認識させるには，接続部にシュミットトリガと分圧用抵抗で構成される回路を挿入する必要があるという問題が生じた．そこで，コントローラを実装するために EV3 のインテリジェントブロックを利用する代わりに，拡張性が高い Arduino 互換ボード MinSegMEGA を利用することを検討した． MinSegMEGA は 2020 年に新型が発売開始となったものであり，「制御工学」の分野で標準的なソフトウェア MATLAB/Simulink を利用してデータの入出力をオンラインで容易に行うことができるという利点がある．そこで，回転型倒立振子で利用するための前段階として，汎用モータの PID 制御を学習するための MinSegMEGA を利用した教育コンテンツを作成した．また，MATLAB/Simulink を利用した「制御工学」の学習を行うために，書籍を出版した．さらに，自動制御を効果的に体感するために，MinSegMEGA で駆動する二輪スケートボードを開発も同時に進めている．
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 初年度 (2019 年度）に開発した旧型の MinSegMEGA を利用した PID 制御の教育コンテンツを，新型の MinSegMEGA に対応させたものに発展させ，充実を図ってきた．しかし，新型コロナウイルス感染症の影響で，3 月に予定していた技術者向けセミナーが中止になり，教育効果の検証を行うことができなくなった．一方で，MATLAB/Simulink を利用した「制御工学」の学習を行うための書籍を出版することができ，サポートページも公開した．
Strategy for Future Research Activity	現在，新型コロナウイルス感染症の影響で，学生や技術者を対象として開発された「制御工学」の教育コンテンツの有用性を，検証できない状況にある．そこで，実施期間の延長も視野に入れ，教材開発を中心として研究を遂行する．具体的には，今年度は，現代制御の学習を想定した題材として，Arduino 互換ボード MinSegMEGA，LEGO 部品，汎用の小型モータおよびサードパーティの LEGO 用エンコーダを利用して，回転型倒立振子を制作する手順を示す．また，MATLAB/Simulink を利用して，回転型倒立振子のモデリングからコントローラ設計までの制御系設計の手順を学習できるコンテンツを作成する．
Causes of Carryover	当初，情報収集のため，3 月に学会参加をする予定であったが，新型コロナ感染症拡大の影響により開催が中止になったため，旅費等を計上しなかった．また，新型の Arduino 互換ボードの販売開始時期が当初の予定よりも延期となり，動作確認作業が遅れた．そのため，当初，予定していた台数の購入をしなかった．今年度は，予定していた物品を調達するとともに，実験装置を開発し，学会発表を行う予定である．