2019 Fiscal Year Research-status Report
天文学コミュニケーション活動に参加する学生の学習成果に関する質的研究
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18K02952
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
田中 幹人 法政大学, 理工学部, 准教授 (80572057)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 天文文化論 / 質的研究 / 地域活性化 / キャリア形成 / 天文学コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、天文学コミュニケーション活動(星のソムリエ講座受講経験者および星景写真家)を行った経験のある方28名に対してインタビューを行った。また、今後の研究展開を見据え、研究過程において知り合った、21名の地域住民に対して、人生における天文・宇宙との関わり方についてインタビューを実施した。インタビューは、一人あたり60分から120分程度の半構造化インタビューを実施し、同意を得た上でICレコーダーでやりとりの内容を記録した。現在は、トランスクリプションを進めている段階である。トランスクリプションが完了した一部のデータからは、天文学コミュニケーション活動を行う人々の人生において、どのようなきっかけで天文学に興味を持ち、その興味がどのような経緯で深化し、そして主体的な活動へと変化していくのかについて手がかりとなるデータが得られている可能性がある。また、今後の発展的研究に繋がる気づきとして、天文普及活動と地域活性化活動の親和性がある可能性がわかった。たとえば、星景写真家や星のソムリエが、活動を通じて単なる天文普及の担い手となっているだけでなく、活動が自己成長としての側面をもったり、地域の魅力を地域内外へ発信する担い手となり得たりすることがわかった。また、調査の副産物として、良質な星空を有する地域に住む住民は、日常的に肉眼で星がよく見えることから、その地域にある公開天文台に対して存在価値をあまり感じていない一面があることもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の遅れを取り戻し、当初の予定以上の研究協力者にインタビューを実施できたため。また、今後の発展的な研究へ繋がる気づきや繋がりが得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
分析途中であるインタビューデータの分析を引き続き進め、その結果をまとめて発表を行う。また、天文学に関わる人々のキャリアは、調査を通じて人々が生活する地域社会とも密接に関連していることが推察されたため、教育的な側面だけでなく、地域社会における天文学の意義についても考察を深めていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた理由は、旅費を安価に抑えることができたことである。また、次年度の使用計画は、追加調査に伴う旅費として使用予定である。
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