2020 Fiscal Year Research-status Report
キレる子どもの神経基盤の解明と有効な包括的対支援システムの構築
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18K02955
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
川谷 正男 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (10362047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 哲也 福井大学, 学術研究院医学系部門, 客員准教授 (00377459)
水野 賀史 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特別研究員 (50756814)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 間欠爆発症 / 神経発達症 / 多職種連携 / 支援 / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、第62回日本小児神経学会学術集会総会にて、「”キレる子ども”における脳波学検討」という演題名で発表を行った。小学生32例(男児28例、平均8.7歳)を対象に安静時脳波とAberrant behavior checklist - Japanease version (ABC-J)の興奮性サブスケールを測定し、脳波所見と易刺激性との関連性について検討した。てんかん性発射を認めたのは10例(全般性5例、前頭極-前頭部4例、頭頂-後頭部2例:重複あり)、背景波異常を認めたのは2例(後頭部律動周波数の遅延1例、左右差1例)であった。一方、ABC-Jが15点以上であった4例はてんかん性発射あり3例、背景波異常0例で、5点以下であった12例はてんかん性発射あり5例、背景波異常1例であった。脳波所見とABC-Jとの間に有意な関連を認めず、今回の検討では、”キレる子ども”の生物学的指標として通常の脳波解析は有用でなかった。 また、令和元年度の第122回日本小児精神神経学会で発表した内容について、「福井県の小・中学校における「キレる子ども」の実態調査」というタイトルで小児の精神と神経誌に投稿し、令和3年3月の時点で採用の内諾を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
キレる子ども(間欠爆発症)の脳波所見の有用性について検討したが、通常の解析方法では有意な関連を認めず、他の手法(スペクトル解析、非線形解析やグラフ解析など)による解析も検証する必要がある。また、福井県の小・中学校におけるキレる子どもに関する実態調査は論文報告を行った。しかし、キレる子どもに対する多職種による支援体制の構築や有効な支援方法の開発は、新型コロナウイルス感染症の流行のため進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、新型コロナウイルス感染症対策にも考慮して、オンラインによるリモートでのキレる子どもに対する多職種による支援体制の構築や有効な支援方法の開発を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行のため、参加予定の学会が中止またはWeb開催となり、旅費の使用がなくなったことと、対面での会議や打ち合わせ、研究の施行が困難となったことにより次年度使用額が生じた。次年度は、新型コロナウイルス感染症の流行状況によるが、可能な範囲で学会参加・発表や多職種によるキレる子どもの支援体制構築を目指していく。
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