2019 Fiscal Year Research-status Report
A study on elementary school teachers' pedagogical content knowledge for the teaching of argumentation s a mathematical process
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18K02958
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
柳本 朋子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70159771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真野 祐輔 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (10585433)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小学校教師 / 教授学的内容知 / 算数 / 数学的プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,小学校教員志望の大学生の教授学的内容知の変容に焦点を当てて進めた。ここでは,事例研究として授業研究への学生の参加場面を設定した。学生は予め指導案作成を行った後,研究授業・研究協議を参観し,その後大学で指導案の修正を行うという一連の活動である。 この活動を通して,学生が教科内容知だけでなく教材や指導法に関する理解を深めたり児童の考えを予測したりする力量を高めたりすることを明らかにしようとした。この成果は,2019年8月に開催された日本科学教育学会年会で口頭発表した。 さらに,この事例をメタ教授学的転置理論をもとに分析した。本来,メタ教授学的転置理論は研究者と教師の協働が教師の職能開発に果たす役割を分析するための枠組みであるが,本研究では,それを教員志望の学生の学びに援用し,そこに影響を及ぼす現職教師の知識を考慮した。指導案上での比較において,具体的問題(本時の問題)は現職教員も学生も同じ(教科書の問題)であるが,具体的問題の背景にある数学的知識,予想される児童の反応,それに対する支援などにおいて両者の明らかな違いが見えた。さらに,上記の一連の授業研究参加活動により,児童の様々な捉え方やそれに対する対処法について理解を深め,数学的な側面と指導法的な側面の両面において変化が見られたことを示した。この成果は,2020年2月に開催された国際数学教育委員会(ICMI)主催の国際会議(ICMI Study)で論文を発表した。 近年,授業研究に関する多くの研究が発表されているが,教員志望の学生が,授業研究に関連してどのような学びの機会があり,実際の授業研究への参加を通して何を学んでいるかという点を明らかにした研究はあまりない。本研究の成果は,そのような学生の実践的な学びの過程や成果について教授学的内容知やメタ教授学的転置理論の視点から明らかにしたことであるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
算数科授業研究への参加を通した小学校教員志望者の大学生の教授学的内容知の変容を分析し,国内外で成果発表を行なってきていることから概ね順調に進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,2018年度と2019年度の研究活動をさらに発展させることにより,算数科の指導における小学校教師に必要な教授学的内容知を明確にし,小学校教員志望者の大学生だけでなく,現職の小学校教員の職能成長も考慮に入れた実践的な意義を高めることが課題である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,(1)2020年2月に出席した国際会議では共同発表であっても参加者が1名に限定されていたため1人分のみ旅費を支出したため,(2)比較的小規模の事例研究を行ったため大学院生への謝金があまり発生しなかったため,の2点である. また,今後の使用計画については,参加を予定していた国際会議が延期になったため,検討中である.
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