2018 Fiscal Year Research-status Report
球根類花卉の開花時期調節と種苗生産の技術を学習するための教材開発
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18K02960
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
神田 啓臣 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (90224881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 俊成 岩手大学, 教育学部, 准教授 (20261464)
永吉 武志 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (50331286)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オーニソガラム / 抑制栽培 / 促成栽培 / クラウドサーバーの利用 / 双方向型授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
球根花きであるオーニソガラム・シルソイデスの開花時期調節の技術を開発し、その成果を授業に導入するとともに、栽培中の成長の様子を観察するための遠隔観察システムを授業に導入することで、効果的な花き栽培に関する授業方法の構築を目指した。 開花時期調節の技術開発に関しては、まず球根を冷蔵(2℃)貯蔵した後に植え付けることによって、開花時期を遅らせること(抑制栽培)が可能かどうか検討した。その結果、冷蔵した球根を植えると、開花時期は遅くなるが成長は抑制されること、および、冷蔵期間が長期間にわたると、開花率も低下することから、冷蔵によって球根内で何らかの変化が起きていると考えられた。そこで、冷蔵貯蔵中の球根内での炭水化物量の変化を調べたが、明瞭な結果は得られなかった。 次に、開花時期を早める(促成栽培)可能性を検討した。その結果、休眠打破処理した球根を植え付けた場合、出芽時期は早まるが、開花時期は早まらなかった。一方、休眠打破処理後に低温処理(20~25℃に1か月間→10℃に1か月間)した球根を植え付けると、開花時期が早まった。このことから、休眠打破された球根を低温下に置くことで花芽の分化と成長が促進され、促成栽培が可能になると考えられた。 栽培植物の成長を観察するための遠隔観察システムに関しては、「植物をスマートフォンで撮影→画像をクラウドサーバーへアップロード→遠隔地にいる受講者同士あるいは受講者と指導者との間での情報共有」というシステムを試行した。すなわち、高大連携授業においてオーニソガラム・シルソイデスの組織培養を実施し、受講者には培養物を自宅に持ち帰ってもらい、スマートフォンに撮影した培養体の画像をアップロードしてもらった。同時に、大学の研究室での培養体の画像もアップロードした。その結果、各受講者と指導者おのおのの培養過程と培養結果を共有できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抑制栽培技術については、開花時期をある程度遅らせることは可能であった。しかしその一方で、開花時期を遅らせるための球根の冷蔵貯蔵によって、成長抑制や開花率低下といった問題を招いていると考えられ、その原因究明も不十分であったことから、次年度も再検討を要する。したがって、やや遅れていると判断した。 促成栽培技術については、開花時期を早めることが可能であり、促成栽培の可能性が示されたことから、おおむね順調である。 遠隔観察システムについては、高大連携授業に試行的導入した。このことは、当初予定にはなかったことであるが、この試行によって、本システムを実際の授業へ導入することが可能であることが示されたので、おおむね順調であると判断した。 以上から、全体的な進捗状況としては、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
抑制栽培技術については、上記(現在までの進捗状況)にも記した通り、球根の冷蔵貯蔵が成長抑制や開花率低下を引き起こしている原因の究明と対策が必要となる。具体的には、冷蔵貯蔵の条件(温度や期間)を変えた際の、球根内での炭水化物等各成分の消長を検討し、その結果と植え付け後の成長との関係を調べる。 促成栽培技術については、開花時期は早まったものの、切り花としての品質(草丈、茎の太さ、花穂の見栄え等)は不十分であったことから、品質改善をはかる。具体的には、球根植え付け前の低温処理が、花芽の分化と成長を誘導していると考えられることから、低温処理の条件(温度や期間)と開花状態との関係を調べる。 遠隔観察システムについては、進捗状況に記した通り、本システムを授業へ導入することの可能性が示されたので、模擬的に授業への導入を行う。具体的には、促成栽培や抑制栽培の実験に本システムを導入して、学生が遠隔地(例えば就職活動先など)で実験の進行の様子を確認することが可能かどうか検討する。
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Causes of Carryover |
この金額は、主に抑制栽培技術に関して使用する予定であった。抑制栽培技術については、進捗状況にも記した通り、今年度の進捗に不十分な面があったため、次年度に再検討する必要が生じた。この金額は、来年度の再検討の際に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)