2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of the synthetic radiological educational contents based on a new course of study
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18K02961
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
秋吉 優史 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70378793)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 放射線教育 / クルックス管 / 放射線計測 / ペルチェ冷却式霧箱 / 寒剤冷却式霧箱 / 放射線安全管理 / 教育コンテンツ開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) クルックス管安全取扱いのガイドラインは、現在暫定版のガイドラインの策定にまで至っている。研究室に於いては電離箱を、教育現場での実態調査にはガラスバッジを郵送することで低エネルギーのパルス状のX線も評価することが出来る。電圧、電流特性の評価や、遮へい特性の評価、CZT検出器によるエネルギースペクトルの評価、距離による依存性の評価、X線量の空間分布の評価などを行った。これらの系統的な評価から、低エネルギーのX線はわずかなエネルギーの違いにより大幅にガラス管の透過率が変化するため、誘導コイルの一次側コイルに印加する電圧設定によりクルックス管への印加電圧をコントロールし、漏洩線量を大幅に下げることが可能となったが、特に漏洩線量の高いコンダクタンスの低いクルックス管に対しては、放電極の距離の設定により大幅に線量を下げることが可能であることを見いだした。この装置のコントロールに放射線防護の三原則を加えて暫定ガイドラインを設定した。さらに、一般の教員が低エネルギーX線の線量を測定する手段として、箔検電器を開放型電離箱として捉えた研究を行い、十分な実用性を持つことを確認した。 2) ペルチェ冷却式霧箱の大面積化は、銅板を用いて観察領域を60mm角にまで広げて観察することに成功した。 3) 寒剤霧箱に関しては寒剤として塩化マグネシウムを用いることで容易な取扱いを可能とし、ペルチェ冷却霧箱で開発したノウハウを流用することで、販売可能な製品レベルの試作品を開発済である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1) クルックス管に関する研究に於いては、全国的な自主的な研究プロジェクト「クルックス管プロジェクト」の各分野の専門家、中学教育現場の教員協力により、大幅な研究進展を達成した。2018年度の本人発表分だけで14回の発表・講演を行っている(うち6回は招待講演)。2018年12月に行われた日本放射線安全管理学会ではセッション1つが「クルックス管」として組まれており、5件の発表が行われた。2019年度も既に4回の招待講演が予定されており、日本放射線安全管理学会 6月シンポジウムではセッション1つが「低エネルギーX線」として企画されている。また近畿大学に於ける教員研修に於いても講演を行い、暫定ガイドラインの普及と実態調査の協力要請を行う予定である。 2) ペルチェ霧箱のハードウェア開発に関してはほぼ当初の目標を達成している。大面積化については冷却能力不足のため、温度が余り下がらず面積は広がったものの飛跡の観察効率は高めることは出来なかった。より冷却性能を高めるため、高性能のCPUクーラーによる試作機も完成しており、従来の観察面積では-50℃以下に冷却できるようになった(現行機では-40℃程度)。これをにより、当初の目標が達成可能となる目処が付いた。一方で多くの教員から要請のあった配線の接続が不要な一体型のペルチェ霧箱の試作品を完成させている。熱処理とチャンバーの開閉機構に独自性があり、極めてコンパクトかつ高性能を維持しており、教育現場での普及に貢献するものと考えられる。 3) 寒剤型霧箱に関してもほぼハードウェア開発が完了している。寒剤の入ったポリパックを的確に保持する断熱材などがあるとより良いが、無くても大きな問題はないと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 暫定ガイドラインを遵守した上でどの程度線量を落とすことが出来るのか、全国的な調査を実施する。また、理科教材メーカーから漏洩線量が高く市場に出回らなかった製品の提供を受け、正確な特性評価を行い、最悪の場合の線量を評価する。放射線防護指針を得るためには、防護量の評価が必要であるが、現在までクルックス管からのエネルギースペクトルに幅かありかつわずかなエネルギーの違いが大きな透過力の違いとなる低エネルギーのX線に対して、実効線量、水晶体等価線量を求める評価手法は確立されていない。70μm線量当量、エネルギースペクトル、さらに空間分布まで評価することで、実際の中学生に対する防護量を評価する。さらに、管理目標値について、国内外の規制状況を確認すると共に、社会的議論を行う。 2) 高性能の CPUクーラーを用いた大面積観察可能な製品を完成させる。一体型の製品についても販売可能なクオリティまで完成度を向上させる。ハードウェア開発と共に、教育現場での授業に組み込めるソフトウェア開発を行う。 3) 塩化マグネシウムは吸湿性があり、夏期の保存に難点がある。ある程度吸湿した状態でも実験が可能かを検証する。2) 同様ハードウェア開発と共に、教育現場での授業に組み込めるソフトウェア開発を行う。
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Research Products
(21 results)
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[Journal Article] クルックス管からの低エネルギーX線評価手法の開発2018
Author(s)
秋吉 優史, 谷口 良一, 松浦 寛人, 宮丸 広幸, Do Duy Khiem, 神野 郁夫, 濱口拓, 野村 貴美, 谷口 和史, 小林 育夫, 川島 紀子, 佐藤 深, 森山 正樹, 宮川 俊晴
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Journal Title
放射線化学
Volume: 106
Pages: 31-38
Peer Reviewed
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