2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of the synthetic radiological educational contents based on a new course of study
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18K02961
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
秋吉 優史 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70378793)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | クルックス管 / 低エネルギーX線測定 / 実態調査 / 実効線量評価 / 免除レベル / ペルチェ冷却式高性能霧箱 / 放射線教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
クルックス管からの漏洩X線量の調査に於いては、2018年度の実態調査結果を反映させた暫定ガイドライン(放電極距離20 mm 以下、距離1 m以上、10分間以内)を遵守することにより、本当に生徒達の安全を確保出来るのか、と言う暫定ガイドラインの実効性を検証する調査を日本全国の57校の中学・高校において実施した。測定はガラスバッジFX型を用いて、クルックス管表面から20 cmの距離のみで10分間行い、1 mでは距離の二乗に反比例して1/25になるとして線量を評価した。測定は70μm線量当量で行ったが、暫定的に保守的な評価で実効線量に換算した。 測定を行った191本中187本の装置については1 m距離、10分間の実効線量が国際的な免除レベルである10μSv以下に抑制されていることが確認された。暫定ガイドライン遵守での最も線量の高い装置では上記の条件で実効線量が40μSv 程度と評価されている。ICRP Pub36「科学の授業に於ける電離放射線に対する防護」 では、古い単位である実効線量当量での記載であるが年間の線量限度を0.5 mSv、個々の授業ではその1/10としており、観察時間の考え方から最も線量の高かった装置についても十分にこの指標を下回っていると言える。 ペルチェ冷却式高性能霧箱の開発に於いては、大型の高性能CPUクーラーと、熱伝導接着剤、黒く塗装処理済のカラーアルミを使用して、観察面積を従来の4cm角から6cm角にまで拡大し、チャンバー内に側面照射型LED配置、大型円形チャンバーの利用により、格段に視認性が向上した、ペルチェ霧箱EX型の開発に成功した。これにより、線源を用いない自然放射線の飛跡も十分に観察可能となり、幅広い放射線教育が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2018年度の実態調査とその結果に対する追跡調査、検証実験により、線量が高くなる要因を分析し、線量を抑えるための暫定ガイドラインを設定できた。これに対する大規模な実態調査においては、全国中学理科教育研究会に於いて参加者全員へのリーフレットの配布、ブース展示での説明を行い、さらに大阪府教育委員会経由で大阪府高等学校理化学教育研究会にも協力を頂いた。 関連論文7報、招待講演9回、日本放射線安全管理学会・日本保健物理学会合同大会での企画セッションでの6件の講演など、を始め極めて多数の成果発表、周知活動を行った。この成果のうち暫定ガイドラインについては5社全ての中学理科の教師用指導書に反映され、複数社に於いて特集記事の執筆を行っており、掲載予定である。 ペルチェ霧箱EX型は初期の不具合も解消し、既に販売を行っており、これまでに17台が全国の教育現場で使用されている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はコロナウイルスによる危機的状況のため、実態調査などが極めて困難であり、また既にクルックス管の安全確保についてはほぼ達成できているため、可能な範囲での追加の実態調査を行う。調査の中で若干線量が高くなった装置については、郵送してもらうことで電圧・電流・X線エネルギースペクトル・線量評価を総合的に行い、原因追及する。 さらに紫外線は、X線、ガンマ線に続く電磁波の説明を行う上で都合が良く、励起による発光(蛍光)や殺菌やウイルスの不活化、さらに一部の金属に対する光電効果など、放射線に近い挙動を示すため、放射線教育を行う上で有用である。コロナウイルスに対する対策を行う上でも紫外線の取扱いは極めて重要であり、放射線に対する化学線量計の一種であるラジオクロミック線量計を用いた紫外線量の測定など、放射線測定技術を活かした研究を実施する。
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Causes of Carryover |
人件費の確定持に400円のずれが生じた。 使用計画に変更は無い。
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Research Products
(41 results)