• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2018 Fiscal Year Research-status Report

ハイリスクな試薬を安全に扱う実験教材の開発-シリカゲル担持硫酸を用いる化学実験-

Research Project

Project/Area Number 18K02962
Research InstitutionTokyo University of Science

Principal Investigator

井上 正之  東京理科大学, 理学部第一部化学科, 教授 (00453845)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords硫酸シリカゲル / ハロゲン化水素の発生 / ハロゲン単体の発生 / スルホン化 / 硫酸エステル化 / ニトロ化 / マイクロスケール実験
Outline of Annual Research Achievements

硫酸シリカゲルを用いる無機化学実験として,塩化水素の発生実験と臭素の発生実験については,基礎的な実験データを出し,実験方法を確立した。また高校生および現職教員を対象とする実践を行い,評価に対するデータを得ることができた。ヨウ素の発生については,臭素の発生に用いていた酸化剤である酸化マンガン(Ⅳ)の代わりに酸化鉄(Ⅲ)を用いる方法を見出すことができた。この酸化剤を用いれば,コンブ灰から塩素や臭素を伴うことなく,ヨウ素を発生させることができると考えられる。現在,定量的なデータを得る実験を行っている。
有機化学実験としてベンゼンのスルホン化検討が終了し,現在,論文を投稿中である。またドデシルベンゼンのスルホン化および1-ドデカノールの硫酸エステル化を行うことができた。これらの反応における生成物のナトリウム塩は陰イオン界面活性剤として利用されている。特にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの合成を扱う教育用実験は,我々が調査した範囲内では報告例が見出されていない。現時点で上記二種類の合成洗剤を実際に作り,その性質を調べる実験教材を概ね確立することができた。また実験のスケールについてもマイクロスケール化を実現することができた。さらにベンゼンのニトロ化および生成したニトロベンゼンの還元とアゾ染料への誘導を行うマイクロスケール実験についても,基礎的なデータが蓄積されている。この実験についても,発ガン性のベンゼンの使用量を大幅に削減することができている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究実績の概要にも述べたように,無機化学実験としてハロゲン化水素(塩化水素)およびハロゲン単体(臭素,ヨウ素)の発生実験の方法を確立し,一部について実践を行うことができた。現在検討中の酸化鉄(Ⅲ)を酸化剤に用いるヨウ素の発生実験のような新規な展開も行われつつある。
有機化学分野では芳香族炭化水素のスルホン化,ニトロ化の各実験をマイクロスケールで行う方法を概ね確立することができている。また高級アルコールの硫酸エステル化についても,実験方法が確立されている。

Strategy for Future Research Activity

無機化学実験では,酸化鉄(Ⅲ)を用いるコンブ灰からのヨウ素の発生法を確立する。その上で,投稿論文の準備を行う。有機化学実験では,陰イオン界面活性剤の簡易な検出法を開拓する。ベンゼンのニトロ化およびアゾ染料への誘導実験については,基礎的なデータを早期に出して,実験者への身体的負担のない実験方法を確立させた上で授業実践を行い,投稿論文の準備を行う。さらに硫酸シリカゲルを用いるエステルの合成についても検討する。
無機化学実験,有機化学実験の両方について,単なる確認実験に留まることなく,アクティブラーニングを伴う授業の展開を検討する必要がある。実験の結果を受けて,実験者との対話によって解決する課題を考える必要がある。例えば,コンブ灰からのヨウ素の発生は,海藻食によるヨウ素の摂取という日本人の食生活に関連する題材なので,世界的に問題となっているヨウ素欠乏症と関連させながら家庭科との教科横断式の授業展開を行うことが考えられる。

Causes of Carryover

当初は蛍光式ファイバー温度計を購入する予定であったが,汎用機器であるFTIRが不調となり,次年度に修理費用を支出する可能性が出てきたため温度計の購入を見送った。次年度にFTIRの修理費用がかかるようであれば,繰越分からの支出を行う予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2019

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] 硫酸シリカゲルを用いた合成洗剤の製造実験2019

    • Author(s)
      栗城鮎美,井上正之
    • Organizer
      日本化学会第99春季年会
  • [Presentation] 硫酸シリカゲルを用いた無機化学実験の開発2019

    • Author(s)
      笠井優花,井上正之
    • Organizer
      日本化学会第99春季年会
  • [Presentation] 硫酸シリカゲルを用いてベンゼンからアゾ染料を合成するマイクロスケール実験2019

    • Author(s)
      中山聖斗,井上正之
    • Organizer
      日本化学会第99春季年会

URL: 

Published: 2019-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi