2018 Fiscal Year Research-status Report
探究的な学びにより地学的見方・考え方を育み問題解決を促す学習プログラムの研究
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18K02965
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
川上 紳一 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (80183036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 光宏 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (40514641)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地学教育 / 理科教育 / 探究学習 / 教材開発 / 地層 / 鉱物 / 相同器官 / 偏西風波動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地学分野における探究学習のための教材開発と、授業実践による検証を行って、学習者の主体的な学びを促す授業モデルを提案し、普及を図ることである。これまでの成果は次のようなものである。(1)縞々地層実験器の開発:中学校「大地のつくりと変化」で、年縞をもつ岩石を提示し、縞の枚数から地学的時間スケールの概念形成を促す授業を提案してきたが、本研究では、縞々地層実験器を開発し、観察する岩石標本と同様の縞模様をもつ地層をつくることができた。年縞をもつ岩石の観察と地層形成実験をもとに、地層の形成過程を推理させることができた。(2)火山灰鉱物標本セット:中学校「大地のつくりと変化」で、火山灰中の鉱物を観察する授業が行われているが、生徒の鉱物観察のスキルが不十分で、誤った鉱物同定で火山学習をするケースがみられた。本研究では、火山灰などから、かんらん石、輝石、角閃石、黒雲母、磁鉄鉱、石英、長石を分離し、それぞれを観察することで鉱物同定のスキルを高め、その後火山灰を観察してどのような鉱物が含まれれているかを探究できるようにした。(3)ニワトリの足の骨格標本キット:市販のニワトリの足(もみじ)を処理し、骨格標本を製作するキットを開発した。ニワトリの足の骨を組み立てる実習と、恐竜の指骨を比較することで、足の骨が相同器官であることに気づき、生物進化の証拠として捉えることを目指した。(4)市販の偏西風波動実験器に改良を加え、回転系で流体運動を撮影できるように工夫した。また、サーモカメラで温度構造を可視化したデジタルコンテンツを開発した。これらの教材を用いることで、地学分野における探究的な学習を促すことが可能となる。今後はさらに教材を開発するとともに、開発した教材を用いた授業実践を行って、探究学習を促す教材であるかを検証していく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、地学分野のおける探究学習のための教材開発を行い、授業実践で効果を検証することである。開発する教材の事例を多く増やし、地学分野における探究学習を支える教材のあり方を明らかにしていく。これまでに開発した教材は、時間・空間スケールの大きな地学事象を教室内で行えるモデル実験でシミュレーションし、自然現象を分析する見方・考え方を見出すことができるよう工夫している。また、火山灰鉱物標本のように、探究学習を促すのに必要なスキルをきちんと身につけるための教材も必要であることが明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、開発した教材について、小中学校の理科授業、あるいは大学の教員養成課程の授業、教員免許状更新講習、大学公開講座などの機会を使って、探究学習教材として有効であるか検証していく。活断層モデル実験器については実験器の試作を進めており、完成度を高めて授業実践に向けて必要数を製作する予定である。新たに、絶滅生物の復元を探究的に進める実験器を構想しており、具体的な仕様を明らかにし、試作することを計画している。
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Causes of Carryover |
当初予定して火山灰標本セットの製作数に対し、実際に製作した標本セット数が少なかったため、謝金および物品費の使用が少なかった。
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Research Products
(4 results)