2018 Fiscal Year Research-status Report
未完成技術を用いた継続的な人工知能技術者育成のための社会実装教育の実践
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18K02971
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Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 雅人 東京工業高等専門学校, 情報工学科, 教授 (50290721)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 文字認識 / 社会実装教育 / AI技術者育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、人工知能を専門とする技術者不足が深刻化する中、即戦力となるトップエンジニアの育成を使命とする高専において、未完成技術を題材とした社会実装教育を通して、AI技術者育成の枠組みを構築し教育の実践を行うことである。しかし、現状の人工知能分野では、十分な精度の結果を得ることが出来ない未完成技術が多いため、これらの技術を駆使して問題を解決していく高い能力が技術者に求められる。この問題を解決するため本研究では、①我々の研究途中の成果である「画像中の活字文字認識に関する技術」を題材に取り上げ、教育の枠組み構築とその実践を行うこと。②継続的な技術者養成の枠組みを確立するためには、潜在的な高専入学志願者である小中学生に対してAI技術者の魅力を伝えていくことを実践する。 本研究課題は4年計画で実施するものである。今年度はその初年度にあたるため、授業環境の整備を行うことを目的に、これまで我々が積み上げてきた画像中の文字認識プログラムの改良を重ねるとともにそれらを次年度の授業で使えるよう整備した。また、先行してタブレットを購入し、サンプルプログラムを作りながら授業教材の準備を行い、次年度の授業方針や計画の策定を行った。また当初の予定では2年目以降の計画としていたが小中学生を対象とした出前授業の検討も開始した。現在、文字認識に利用する局所特徴量を活用し、ディープラーニングによる人物顔の自動生成に関するデモンストレーションを検討している。 授業教材については幾つか改善を要する点が残っているが、一通り整備することができた。また、文字認識アルゴリズムの改良および小中学生を対象とした出前授業内容の提案については、その成果をまとめ学会で4件の発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究開始の初年度にあたるため、まず次年度以降の授業を実施するために教材の整備を行うこととサンプルプログラムを試作することが目標であった。おおむね予定通りの成果が出ているが、教材に関してはさらに改善した方が良い部分も課題として残っているため、2年目に継続して作業を行いたい。一方、小中学生向けの出前授業の検討は、2年度目以降の計画としていたが、並列して研究を進めることができたため、1年目に着手済である。 以上のことから、計画通りの部分と計画を前倒ししている部分があるため、総じて、おおむね順調または予定よりやや早く研究が進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目はおおむね順調に研究が進んでいるため、2年目以降も当初の計画通りに研究を進める予定である。具体的には次の通りである。 2年目は、本校における社会実装授業において第1回目の試行を行う。本研究では、受講学生が自ら世の中の問題を発見し、それを解決していく力を養うことが目的であるため、今回は精度が十分でない未完成技術を駆使して製品を開発していく能力を求める、十分でない精度を機械学習との連携で解決していく道筋を検討する。 3年目は、2年目の試行結果をもとに授業方法の改善を試みる。受講学生に了解を得てアンケート調査を行うだけでなく、研究代表者が所属する高専において実施しているprogテストの統計処理後の結果も活用し、授業そのものの実施方法に関する改善を行う。また、教材として扱う文字認識プログラムの精度や機械学習の取り入れ方の改善に関しても必要に応じて見直しを検討する。 最終年度は、引き続き授業改善を行うと共に、出前授業を実施する。内容は社会実装授業の成果物を基本とするが、小中学生に興味をもってもらうためには成果物のアレンジも必要である。これらの作業および出前授業の支援は研究協力者の協力を得て実施する。最後に、本研究の成果をまとめ、論文として公表する。
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Causes of Carryover |
次年度使用が発生した金額はわずかであり、購入予定物品の市場価格の変動等によるものである。次年度も引き続きタブレット等の購入を予定しているため、その中で次年度使用分を吸収する予定である。
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Research Products
(4 results)