2020 Fiscal Year Research-status Report
Creation of a pedagogical course for understanding the basics of IoT-Oriented Edge Computing Focusing on the Analog Front End
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18K02973
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
石川 洋平 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (50435476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 卓朗 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 助教 (20805626)
深井 澄夫 佐賀大学, 理工学部, 客員研究員 (30189906)
白鳥 則郎 中央大学, 研究開発機構, 機構教授 (60111316)
徳本 家康 佐賀大学, 農学部, 助教 (80445858)
堀田 孝之 有明工業高等専門学校, 技術部, 技術長 (80450146)
清水 暁生 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (90609885)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アナログフロントエンド / IoT / エッジコンピューティング / ミニマルファブ / 電子回路教育 / サーキットデザイン教育 / 統合設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「自然界のデータを受信・増幅・処理するAFE技術に着目した実践的教育基盤の創生」を目的としている。具体的には(1:開発)ミニマルファブを活用した実践教育特化型AFEエッジデバイスの開発 (2:教育)主要AFE技術(増幅回路とフィルタ回路 etc.)のe-learningシステム構築 (3:実証)IoT指向エッジコンピューティング教育基盤の創生と社会実装手法の提案までを行う。 本年度の実績は、ミニマルファブにより試作したチップの計測が行えたこと、FIB(Focused Ion Beam)を用いたレイアウト修正等の手法を教育的に実施する方法に着想が至った点である。教育面では、昨年に引き続き高専4年生(大学1年相当)の学生39名に対してインバーターのレイアウト演習を実施し、さらに、緊急事態宣言の影響により遠隔での教育が必要であったため、機材の貸し出しやインターネット講義システムの活用で前期中の演習を対面以上の効果を生む形で行うことができたことである。図らずもe-learningとなったことは本研究にはずみをつける一助となっている。また、「サーキットデザイン教育」「統合設計」を新たなキーワードとして加えるという着想に至り、数十年前まではマニアの代名詞だったプログラミングが今や初等教育で導入されている現状を模して、近い将来の「ものづくり」「価値づくり」教育を電子回路設計から行うという方向性の浸透を推進することで社会実装・産学連携を加速させる準備が整った。本研究に関連する学外発表は「集積回路技術・教育」「産学連携と社会実装」に関して5件行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミニマルファブでの試作を経てトランジスタの動作を確認できた。設計ミスをすることで通常は無駄になっていたチップをFIB(Focused Ion Beam)を用いて修正する手法を外部企業に依頼できるようになった。当該装置は非常に高価で保有している機関も少ないため、災い転じて福をなすという形で道がひらけたことは本研究の糧となっており、その過程をケース教材として教育に活かせる。FPAA(Field Programmable Analog Array)デバイスを用いた実験ではセンサ周りのアナログ回路を自在に組み替えることでエッジデバイスの可能性を教育する仕組みが整った。「増幅」と「フィルタ」という信号処理の基礎をテキスト・演習・インターネット講義で可能となり、集合形式・個人形式どちらにも対応可能となった(機材の都合上10人程度が現在の上限)。集積回路設計技術者は木を見て森を見ずとなりがちであるため、IoT実習として農業IoTシステムの構築から保守運用までを取り組んで視野を広げるフィールドワークも後期には実施できた。さらに、「統合設計」という新たなキーワードを掲げ、今まで取り組んできた集積回路×IoT×農業との融合を目指し、「サーキットデザイン教育」プラットフォームの構築に近づいている。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は、ミニマルファブの可能性を教育につなげるという意味で、安定期を待って教育基盤を作るのではなく、黎明期から未来を予測して仕組み(プラットフォーム)を作ることが重要だと考えており、引き続き、研究実績の概要にも示した(1:開発)(2:教育)(3:実証)をバランスよく行い、最終年度の仕上げとして、研究テーマ名にも記しているIoT・AFE・エッジコンピューティングを意識した教育を継続する。「IoT指向エッジコンピューティング教育基盤の創生」の基本となる教育概念を「サーキットデザイン教育」と定義し、社会実装につながる「統合設計」ができる人財の育成を目指していく。研究期間を通して100名の学生に教育を実践することが目標である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス・緊急事態宣言の影響により、学外での活動や学内での研究環境利用が制限されたため、費用の持ち越しが大きくなっている。特に旅費に関しては遠隔での学会参加などが多くなったため付け替えを行っている。試作・修正に関しては企業との円滑な連携体制が構築されたため、順調に進んでいるが、アカデミック利用と企業の経済性を勘案して今後の明確な費用の算定を共同で行う必要があるため変動が起きる。我々の取組は「実践的教育基盤の創生」がテーマであるため、時代のニーズや変遷に伴って、フィールド実験や試作を柔軟に行っていく必要があり、緊急事態宣言下においてもしなやかに対応できる教育システムの構築が肝要であると考えている。研究期間を通じた研究費の柔軟な運用が可能であることに感謝している。今後の研究費使用計画としては、試作・計測を中心に考えている。※緊急事態宣言再発出等の影響で工場等が停止した場合などは都度戦略的に計画変更をしていく。
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