2020 Fiscal Year Research-status Report
マイクロスケール実験の新展開:現代化学・ESDにつながる化学実験
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18K02975
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荻野 和子 東北大学, 理学研究科, 客員研究者 (40004353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻野 博 東北大学, 理学研究科, 名誉教授 (00004292)
渡辺 尚 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (20756522)
猿渡 英之 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (30221287)
栗山 恭直 山形大学, 理学部, 教授 (50225273)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マイクロスケールケミストリー / 化学実験 / ESD / 現代化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.前年度に引き続き「持続可能な社会」という概念の理解につながるマイクロスケール実験(MC)教材を研究した。とくにエネルギーについての教材を発展させた。いろいろなかたちのエネルギーとその相互変換は電池・電気分解の実験を通じて実感させる。マイクロスケール電気分解においては、実験条件が重要であり、教育効果を高める条件を明らかにした。2020年秋以降対面のワークショップが可能な地域で実験教室、授業で試行した。またそれ以外の現場ではリモート授業を通じて試行した。 2.滴定法を中心に、小中学生が実施できるように簡易でかつ十分な正確さ精密さが得られる定量実験法の開発・改良を行った。その方法を用いて仙台市科学館において小学生を対象とする実験教室を行った。溶存酸素測定のMCについては、条件を検討中である。 3.化学における最先端研究成果の理解に資する化合物としてロタキサンを取り上げた。分子の糸にシクロデキストリン(CDX)の輪を通し、糸の両端にAとBという異なる金属錯体を結合させたロタキサンの合成に成功した。さらに、合成の反応段階に工夫をこらし、CDXが右向き及び左向きに糸通しさせたロタキサンの合成を試みた。得られた2種のロタキサンにはNMRスペクトルに違いが認められた。 4.これらの成果の一部は2020年9月にウェブ開催された2020年度化学系学協会東北大会で発表した。2021年3月にウェブ開催された第101回日本化学会春季年会の機会に、本研究に関係する分野の活発な情報交換・討論の機会にしたいと広く研究者に参加を呼びかけた。その結果、化学教育のセッションにMCの研究発表が全国から集まった。つまり、MCのシンポジウム開催と同じ効果をあげることができた。私たちの研究成果を知ってもらい、MCについて熱のこもった討論を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の中で、実験、対面型の授業、ワークショップ、研修の実施が制限されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
分析化学分野の実験教材については、定量性、操作性、安全性の向上を図る。 分子機械についての教材については、2種のロタキサンの違いからCDXの向きを特定できないか、さらに研究を深める。 学生実験でのマイクロスケールの活用の検討、および実験キット事前送付におけるオンライン実験での安全性の検討、学校現場で行う演示実験でのマイクロスケールの活用と実践を行う。 開発、改良した教材の現場での試行を行い、改良する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染のリスクのため、緊急事態宣言等の制約があり、学会が中止になったり、オンライン開催となった。そのため旅費への支出が皆無となった。ワークショップ等も開催が制限されたため、消耗品の費用も少なかった。2021年度は、研究連絡、研究発表、情報収集のための旅行また、遠隔地でのワークショップの開催を予定している。そのための旅費、消耗品費の支出を行う。
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