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2018 Fiscal Year Research-status Report

身近な環境放射線の測定と授業実践について

Research Project

Project/Area Number 18K02977
Research InstitutionWakayama University

Principal Investigator

木村 憲喜  和歌山大学, 教育学部, 教授 (70324986)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords理科教育 / 放射線 / 環境教育
Outline of Annual Research Achievements

2011年3月11日に東北地方に巨大地震が起こり, 福島原子力発電所から多量の放射性物質が拡散した。その後, さまざまな学校で放射線に関する内容を取り入れた講義や実験を行うようになってきた。しかし, 和歌山県内の多くの教員は放射線に関する指導経験がほとんどなく, 放射線の種類や単位を教えることも困難な状況である。
そこで, まず平成30年度に和歌山県内における放射線量を測定し, 和歌山版線量マップを作成した。その結果, 建物やトンネルの中で高い線量が得られた。一方, 海上では線量の値がほぼ0μSv/hとなった。このことから, 建物やトンネル内では岩石に含まれる放射性物質が強く影響し, 海上では水によって多くの放射線が遮られることがわかった。さらに, 都市部や高度による放射線量の違いも観測された。これらの実験結果を平成30年度日本理科教育学会近畿支部大会(平成30年12月1日, 奈良教育大学)で発表した。
次に, 教員免許講習(和歌山大学会場)で和歌山版放射線量マップを使って放射線に関する講義と実験を行った。受講者は主に, 小学校や中学校の理科教員であった。まず, 放射性物質の基礎的な内容を説明し, その後, 市販の放射線測定器を用いて身のまわりの放射線量を測定した。実験後, 得られたデータをもとに, グループ内で話し合った。その結果, 我々の身のまわりでは, 常に放射線が飛行しており, 自然界の放射線で被ばくしても特に問題がないことがわかった。さらに, 児童や生徒に一定量以下の放射線量であれば安全であることをきちんと伝える必要があることを共有した。今回, 免許更新講習に受講した教員が自ら放射線測定器を用いて放射線量を測定することにより, 放射線に関する正しい知識を身に着けることができたと思われる。来年度以降も引き続いて, 放射線に関する学習指導を行う予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成30年度において, 和歌山県のほぼ全域の放射線量を測定することができた。そして, 和歌山版の放射線マップが完成した。この放射線マップを教員免許更新講習などで利用することで放射線をより良く理解できることがわかった。また, 他府県のデータを比較することにより, 和歌山県の地質にも興味をもつことができた。一方で, 今回の実験では, 詳しい放射線の種類や同位体の同定には至らなかった。次年度以降は, 地質の違いによる線量の差異や温泉地での線量について詳しく調査する予定である。また, 引き続き教員向けの免許更新講習や小中学生向け科学実験教室などで放射線に関する講義や実験を行い, 放射線が身近な存在であることを再認識させていきたい。
以上のように, 和歌山地域における放射線測定は, 計画通り実施することができた。そして, 免許更新講習などで得られたデータを紹介することに成功した。よって, 本研究はおおむね順調に進展していると言える。

Strategy for Future Research Activity

平成31年度は, 紀北と紀南地域おける地質の違いによる線量の差異や温泉地での線量について詳しく調査する予定である。この実験から, 身のまわりの放射線に対する興味関心を引き出すことができると考えられる。
次に, 学校の実験室や科学実験教室で市販の放射線測定器を使って放射線量を測定する。我々の身のまわりの物や食材には, ごく微量の放射性同位体を含んだものが数多く存在する。これらの放射線を実際に測定してみる。そして, これらの放射線の源を考えることにより, 科学的な興味をもたせることが可能である。これまで, 学校現場では放射線に関する内容をほとんど教える機会がなく, 児童, 生徒に放射線の正しい知識をいかに教えていくか, この研究から模索していきたい。

Causes of Carryover

物品の購入に対し, 一部変更があったため。次年度使用額である84円は物品費として使用する予定である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2019 2018

All Journal Article (2 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] 次期学習指導要領で求められる中学校理科の授業研究と実践例について2019

    • Author(s)
      奥田雅史, 木村憲喜
    • Journal Title

      和歌山大学教職大学院紀要

      Volume: 3 Pages: 97-103

  • [Journal Article] 身近な気圧の測定と教材化2019

    • Author(s)
      木村憲喜, 中村知, 漁野貴洋, 中村文子
    • Journal Title

      和歌山大学学芸

      Volume: 65 Pages: 19-20

  • [Presentation] 大学生の実践的な指導を養成するための授業2018

    • Author(s)
      中村文子, 木村憲喜
    • Organizer
      日本理科教育学会近畿支部
  • [Presentation] 和歌山大学スーパーサイエンティストジュニアプロジェクトで実践した研究発表2018

    • Author(s)
      鳴神一樹, 前島康二, 杉谷隆太, 木村憲喜
    • Organizer
      日本理科教育学会近畿支部
  • [Presentation] 和歌山県の自然放射線の測定について2018

    • Author(s)
      須賀弘樹, 木村憲喜
    • Organizer
      日本理科教育学会近畿支部

URL: 

Published: 2019-12-27  

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