2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K02978
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
北 実 鳥取大学, 研究推進機構, 助教 (60359875)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 放射線教育 / 安全衛生 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の情報収集および実践経験を元にブラッシュアップした教材を元に、引き続き実践的な活動を小中学生向け放射線教育(10件)の他、小中学校教職員向けの研修等の実践的活動(2件)、原子力防災訓練(6件)において講演等を行った。それぞれの実践場において主題は異なるが、いずれも放射線に対する理解を深める上で放射線や放射性物質の「量」を理解することが重要であるということが確認できた。 「量」に重点を置いた放射線教育を行う上で「測定器」は重要となるが、一般的に放射線(能)測定器は高額となることが足枷となることが知られている。しかし多くの実践場で「霧箱」を使用して放射線量の大小を受講者に伝えることができた。 「霧箱」はいくつかの種類を検討した結果、小さな容器内にアルコール加え、蒸発させたのちにドライアイスによって冷却することで容器内に過飽和状態を作り出す方式のものを採用し、様々な場所で実演・実習教材として使用することを目的として運搬等が容易な形での確立を図った。さらに霧箱で放射線を観察するための線源として、ゴム風船を用いて空気中の放射性物質を集めて使用する方法の確立を図った。ゴム風船を線源に利用する講習は、小学生から一般市民まで様々な人が参加する講習会等で実演を行ったが、一度も風船で集められた放射性物質に対して不安を持つ人は出なかったことから、過度な不安を与えることのない放射線源として有効であることを確認できた。一方で座学教材と併せることで、放射線の持つ危険性が、その量の大小に起因することを伝えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の引き続き情報収集を行う上で、前年度、情報収集が不足した医薬品分野についての情報収集も行うことができた。これらの知見も踏まえた上で放射線・放射性物質の「量」に重点を置いた教材として、「放射性物質の捕集」と「測定」ができる教材の開発を進めた。 またゴム風船を用いた環境中の自然放射性物質の捕集システム、簡易な霧箱による放射線測定方法を用いることで、小中学生から一般市民まで幅広い層で一般的な環境中に存在する放射性物質の量についての理解を深めることができるこを確認した。 しかし組み立てた教材の実践を試みる予定の2月~3月において世界的な感染症の流行が生じ、感染症対策の観点において安全な実践場の確保が困難となってしまった。このため作成した教材を実際に貸し出したり、持ち運んで使用する機会を作ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
【情報収集】継続して学会、研修会等に参加することで研究者らと意見交換を行うほか、文献等の調査を通して情報収集を継続する。 【教材の実践】開発した教材を用いた放射線教育の実践を行う。実践の場は①小中学校教育、②一般市民を対象とした講習、③専門教育の基礎的な過程(放射線業務従事者教育等)を予定している。 【視聴覚教材の開発】現在、世界的な感染症の流行に伴い、人が集まる講習会等の開催が困難な可能性が考えらる状況にある。このことから一般向けの視聴覚教材の開発を検討する。視聴覚教材としてはスライド資料を利用したビデオ教材の他、実験・実演を収録したビデオを作る。特に十分な講習会の開催が困難となった場合は、実験・実演のビデオは、それを視聴した人が実際に自分でも再現できるような解説に内容の重点を置く。 【成果物の発信】実践した放射線教育の事例を関連学会等で報告するとともに、作成した教材のホームページ上での公開を目指す。
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