• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2019 Fiscal Year Research-status Report

New application of Ge/Ga generator of nuclear medicine for science education: to students in high schools, undergraduate courses for university students, general public

Research Project

Project/Area Number 18K02991
Research InstitutionMusashi University

Principal Investigator

薬袋 佳孝  武蔵大学, 人文学部, 教授 (10157563)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 永津 弘太郎  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 先進核医学基盤研究部, 研究統括(定常) (30531529)
鷲山 幸信  福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80313675)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywordsサイエンスリテラシー / 先端的教養教育 / 高度理科教育 / 微弱放射能利用 / 陽電子放出核種 / 放射平衡 / 放射線教育 / 科学史
Outline of Annual Research Achievements

加速器で製造されるGe-68の放射壊変で生成する娘核種Ga-68は,短半減期の放射性トレーサーとして,核医学分野を中心に広く利用されている.特に,放射性同位元素としての下限数量以下では,大学や高校などの一般的な実験室や野外での使用すらも可能てある. これに着目して,教育用Ge-68/Ga-68ジェネレーターの開発と利用を,ハードとソフトの両面から,研究の対象として来た.
今年度は,ハードについては部分的な改良の段階に既に達していたため,ソフト開発に重点を置いた.特に,大学,高校,市民などの対象者共通の興味として,身近な環境をテーマに据えての実験プログラム開発に注力した.具体的には,環境に広く分布する有機物の一種であるフミン酸について,Gaなどの微量元素の環境挙動に及ぼす影響を実証する実験を取り上げた.
フミン酸は,腐植酸とも呼ばれる通り,植物の遺骸が土中で微生物によって分解されて腐敗して行く中で生成する酸の一種である.土壌や堆積物,河川水や海水などに広く分布する.重金属や農薬成分などと結合することで,その重金属や農薬成分の環境挙動がフミン酸濃度の高低によって大きく変わることがある.この現象は,Ge-68/Ga-68ジェネレーターから得られるGa-68の放射能を環境を模擬した実験室系で追跡することでも,実験的に解明することが出来る.例えば,ガリウム-フミン酸錯体の安定度やガリウムの土壌への吸着度に対するフミン酸の影響の評価などが具体的な実験項目として挙げられる.
これらの実験は,環境化学や地球化学の一線の研究領域の手法とされて来た.科学教育の教材としては,放射能利用が壁となり,対象とは考えられて来なかった.教育用Ge-68/Ga-68ジェネレーターの利用はこうした壁を取り払うものである.フミン酸に関する実験も含めての教材化は随時実施しており,学会などで公開した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

核医学用Ge-68/Ga-68ジェネレーターを大学教養教育・大学専門教育・高校教育・市民教育の場で利用するためのハードとソフトを開発することが本研究の目的である.
ハードについては,ミルキングシステムをカラムキットの形で製作した.安全で操作に熟達を要しない点に留意した.また,Ge-68の量を一定量以下とすることで,一般の教室・実験室での利用を担保した.
ソフトについては,大学教養教育ての利用を想定しての学生実験プログラムへの組み込みや演示実験での使用を助ける指導者用テキストの開発に当った.履修者向けの実験テキストや科学史を含んだ関連教材についても試作した.それぞれ,高校教育での利用にも参考となる成果であった. また,環境教育での利用を想定して,フミン酸錯体の生成がGaなどの多価微量金属の環境挙動にどのように影響を与えるかについての実験プログラムの開発も進めた.これらの結果の一部は学会発表などの形で公表した.当初の予想以上の成果であった.
しかし,令和2年2月からのCOVID-19対策の実施は,本研究の進捗状況にも影響を及ぼした.教育現場での実践には,試行も含めて,COVID-19感染の防止という観点からの安全性確保が必要となった.当面は実験手法の画像化や動画化などのオンライン授業やオンラインセミナー向けの実験についての教材開発を実施して,研究開発の著しい遅れを防ぐように対処した.
長期的な教育プログラム開発の観点からは,オンライン教育は科学教育に新しい発展の可能性とニーズを発生させる.しかし,短期的には,対面でのグループ学習を想定しての実践的な教育プログラム開発の進行を鈍化させてしまう.このため,研究実績については中間的な評価を与えた.

Strategy for Future Research Activity

当初の予定以上の研究成果を得るためには,COVID-19に対応した実験教育プログラムとして開発して行く必要がある.これを念頭に置いて,教育現場での実践的な利用を促進するための教育用Ge-68/Ga-68ジェネレーターの研究開発に当たる.主にソフト面の開発で対応する予定である.まず,オンライン授業やオンラインセミナーにも利用出来るような実験教育プログラムへの発展を図る.実験操作の映像化や動画化だけではなく,実験データの解析方法や社会モデルとの相似性なども含めての総合的なオンライン教育プログラムとしての開発に発展させる.
実験教育の実施を困難とする要因の一つであるCOVID-19への対応を織り込んでの実験教育プログラムは国際的にも評価されることが期待できる.本研究計画の最終年度の目的は国内外におけるジェネレーターの教育利用の促進にある.研究の発展の中で,思いがけない形ではあるが,国際的にも注目される成果に発展し得る状況に到達したとみられる.

Causes of Carryover

令和元年度末のCOVID-19感染の拡大のため,大学・高校などの授業や施設利用に制限が加わった.このため,本研究課題で開発した教育プログラムの試行の場が失われた.また,研究発表や研究打ち合わせのために参加を予定していた学会や研究会も中止や出張を必要としない形態での開催となった.これらの要因によって,旅費および消耗品費を中心に次年度に使用を繰り越す費目が発生した.
次年度(令和2年度)は国外への研究成果の発信を重視することを計画しており,発生した次年度使用額は海外開催の学会での発表のための旅費の充足に充てる.また,COVID-19の結果,国際的にもオンライン教育のデマンドが高まっている.実験をベースとした科学教育のオンライン化の1ケースとして,本研究が対象とするGe-68/Ga-68ジェネレーターをオンライン教材としてどのように利用するかは,新たな関連課題である.このための教育プログラムの開発経費は,繰り越された令和元年度の経費から主に充足する予定である.

  • Research Products

    (3 results)

All 2020 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] フミン酸の環境挙動についての実験教育プログラムの開発2020

    • Author(s)
      藥袋佳孝
    • Journal Title

      武蔵大学人文学会雑誌

      Volume: 51 Pages: B1-B11

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 下限数量以下のGe-68/Ga-68ジェネレーターによる放射化学実験プログラムの開発現2019

    • Author(s)
      野崎 正・新澤和裕・永津弘太郎・藥袋佳孝
    • Organizer
      日本放射化学会第63回討論会
  • [Presentation] Experimental education program on humics in the environment using Ge-68/Ga-68 under legally defined level as radioactive materials2019

    • Author(s)
      MINAI, Yoshitaka; NAGATSU, Kotaro; WASHIYAMA, Koshin; NIIZAWA, Kazuhiro; NOZAKI, Tadashi
    • Organizer
      日本化学会第100春季年会

URL: 

Published: 2021-01-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi