2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K02993
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Research Institution | Kansai University of International Studies |
Principal Investigator |
谷口 一也 関西国際大学, 教育学部, 准教授 (70463289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 健夫 長崎国際大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00112368)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がん教育 / 医療リテラシー / 小学校教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はがん教育の教育内容の検討及び小学校でのパイロット実践を行った。以下に、がん教育の内容検討に関して、課題として明らかになったことを述べる。 国際的なヘルスリテラシーの議論から学校教育におけるヘルスリテラシーを「健康の維持・増進のために個人や集団が健康情報を入手し、理解し、評価し、活用する能力」と定義した。また、この定義に基づき、ヘルスリテラシーの一部である医療リテラシーがヘルスリテラシーの中でどのように位置付けられるのかを整理した。これらの検討の中で明らかになったことは、ヘルスリテラシーの3段階のうち相互作用的ヘルスリテラシー、及び批判的ヘルスリテラシーの向上のために教育内容の改善が必要である、ということである。 次に、国内外における健康教育の現状や日本の学校教育の内容を考察し、病気の原因など医療リテラシーの基本的な内容が不十分であることを示した。このことは、厚生労働省、民間企業による調査、大学生の健康意識調査にも表れており、大きな課題の一つであると言える。特に、世界的な人の移動が当たり前になっている現代において、感染症などの公衆衛生に関する内容は必須であるが、社会全体で病気を抑え込む考え方は全く含まていない。中学校・高等学校においても個人の予防策に関する内容が中心であり、世界的な感染症の流行などには触れられていない。 さらに、医療の多様化やがん治療薬を中心とする高額な医薬品の登場に伴い一部で混合診療も始まっているが、高額な医療費、多様な治療法をどのように選択していくかなどの課題に関しては、対応が不十分であり、早急な対応が求められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示した通り、がん教育に関し、医療リテラシー教育の視点からその意義や方向性を整理し、教育内容や指導の視点を明確化、課題の把握を行うことができた。また、パイロット実践として、兵庫県尼崎市内で保健所と連携しがん教育の実践を小学校1校で実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
①小学校の教育実践では、相互作用的ヘルスリテラシー、及び批判的ヘルスリテラシーの内容を含む「はがき新聞」の作成を行った。今後、この新聞の評価方法に関して、ルーブリックの作成を行い、評価方法の確立を行う。 ②前述の教育実践では、がん教育に関心の高い小学校教員に実践をお願いしたが、がん教育を普及するために教員が抱えているハードルを明らかにし、補助資料の作成や研修会の機会を通じての普及を行っていく。
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Causes of Carryover |
本年度明らかにした研究内容を報告する学会への参加や資料・パンフレットの作成が次年度に繰り越された。次年度に関しては、成果報告の確実な実施と更なる研究推進を図り、適切に予算を執行していく。
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