2018 Fiscal Year Research-status Report
地質情報の3Dプリンタ造形による教育・展示技術の高度化
Project/Area Number |
18K02997
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
兼子 尚知 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (50356804)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 3Dプリンタ / X線CTスキャナ / 地質情報 / 博物館 / 展示技術 / 模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は,3Dプリンタによって地質情報の立体模型を造型するノウハウの構築,その模型を研究素材として利用することによる研究進展への貢献,模型を教材として教育や人材育成に利用したり,研究成果発信のための展示・説明等に用いてその高度化を図ることである.本研究課題においては,地質構造や化石標本等,様々な地質情報の3次元形状デジタルデータの取得や加工処理,そのデータから3Dプリンタによる精密かつ客観的な立体模型を出力する一連の技術を開発し一般化する.こうして作成された精密な模型は研究材料として有用であり,研究分野の発展に貢献することが期待される.さらに,それらの立体模型を教材として教育や人材育成に利用したり,研究成果発信のための展示・説明等に用いてその高度化を図る. 研究初年度においては高詳細な光造形3Dプリンタを導入して,実物の500倍に相当する放散虫化石模型を造形し,産業技術総合研究所地質標本館の展示改修の際,実際にこの模型を用いて展示を行った.このように,3Dプリンタによる地質情報の模型は,自在な拡大縮小とデータ処理により,地球の大構造や地形等の縮小,微化石の拡大,変形した化石の形状復元,貴重標本や脆弱標本の複製等の造型を行うことで,地質情報の可触化・可視化を実現を示すことができた.このノウハウを広く適用して作成した立体模型を教育・研究に供したり,研究成果発信のための展示・説明等に用いることでもたらされる教育・展示技術の高度化を実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度は,6月から所内異動により研究関連部門に本務が移った.この人事は研究課題提案時には予想されなかったことであり,研究部門にも兼務がかかり研究を進めることができたものの,当初計画を全て実行するには至らなかった.論文や学会発表の機会も得らなかったため,初年度の進捗状況は遅れていると評価せざるを得ない.
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Strategy for Future Research Activity |
第2年度は,6月以降に研究部門に本務が移るため,遅れている研究をより推進することが可能となる. 初年度に実現できなかったマイクロX線CT装置を用いた微化石の3次元データ取得を実施し,系統的な指標化石模型のセットを製作する.化石に留まらず,地質構造や地形などの地質情報の立体模型製作にも取り組み,研究課題の核心部分を掘り下げることとする. このようにして製作した模型を地質標本館などにおいて実際に展示に用いたり,学生実習などに提供することで,教育・展示技術の高度化を推し進める.
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」にも述べたとおり,当該年度は所内異動により十分に研究活動に時間をかけることができず,計画を実行しきれなかった.本年度は,研究部門に戻るため研究を計画に沿って進める予定である. 本年度は,主として外部機関が所有するマイクロX線CT装置による微化石の三次元データ取得のための旅費や機器使用料,ハンディタイプのレーザースキャナの導入費用として予算を使用する予定である.
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