2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03000
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辻本 昌弘 東北大学, 文学研究科, 准教授 (90347972)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 生活史 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活史はオーラル・ヒストリーとも呼ばれ,社会科学の多くの分野で活用されている。本研究の目的は,生活史研究の新たな方法論を構築するとともに,それをふまえたフィールドワーク研究に着手することである。今年度の研究実績の概要は以下のとおりである。 前年度に構築した生活史研究方法論の大枠に対して,詳細な個別各論を加えて方法論を完成させる作業を進めた。おもな事項は以下の3点である。第1に,分析哲学の出来事論などさまざまな学問領域の知見を踏まえ,生活史研究において聴取・描写する「出来事」の存立構造を明確化した。第2に戦争や災害といった極限体験の本質的特徴と,それを記録するさいの生活史研究の強みと限界を明確化した。第3に,生活史研究における語り手と聞き手の共同制作と史実検証の重要性を明らかにする論理を構築した。以上をもとに生活史研究におけるインタビューと口述編集の個別技法を提案できるようにした。 また,今年度はさまざまな学問領域における生活史研究の活用について検討する第一歩として,犯罪研究領域における先行研究を再検討する作業をおこない,その成果の一端を海外で開催された国際シンポジウムにおいて報告した。さらにこれまで実施してきた沖縄での生活史研究を発展・深化させるために,沖縄現地にて資料収集調査をおこない,複数の研究の方向性を立案した。今後は,研究の方向性を絞り込み,より焦点を絞った資料収集をおこなう予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標としていた作業をほぼ順調に進行させた。成果の一部を国際シンポジウムで報告した。さらに成果を論文として刊行する準備を大きく前進させた。
|
Strategy for Future Research Activity |
生活史研究の方法論について総仕上げをおこない論文として刊行する。生活史研究の方法論を検討するなかで浮上してきた新たな研究アイデアを具体化していく。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額は些少である。次年度に使用する。
|
Research Products
(1 results)