2020 Fiscal Year Annual Research Report
Methodology of life history study
Project/Area Number |
18K03000
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辻本 昌弘 東北大学, 文学研究科, 准教授 (90347972)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生活史 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活史(ライフ・ヒストリー)とは,インタビューなどをもとに特定人物の人生の歩みをくわしく記録したものである。生活史はオーラル・ヒストリーとも呼ばれ,社会科学のさまざまな分野で活用されている。本研究の目的は,これまで実施してきた生活史研究を理論的に総括して生活史研究の新たな方法論を構築すること,さらに新たな方法論をふまえた次なる実証研究に着手することである。今年度の研究実績の概要は以下のとおりである。 1.これまで行ってきた生活史研究の方法論に関する分析をまとめて学術論文「社会科学における生活史研究,再考」として刊行した。この学術論文は本研究課題の中核をなす成果であり,その概要は以下のとおりである。生活史研究の意義は,既成の通念を揺さぶり新たな解釈を生みだす手がかりを提供することにある。この生活史研究の意義を実現するためには,インタビューにおいて出来事を具体的に描写する口述(出来事の写生)を語り手から引きだすことが必要となる。生活史研究は個の理解を目指すものではなく,語り手・聞き手・読み手のあいだの言語コミュニケーションをつうじて,人間・社会・時代に対する新たな解釈を多角的に生みだすものである。 2.以上のような生活史研究の方法論をふまえて次なる実証研究に着手した。生活史研究は,戦争や移民など極限体験を調べる場合にとりわけ有効である。そこで徴兵忌避など戦時下の庶民の体験に着目して資料収集を実施した。また,生活史研究ではしばしば高齢者を対象とするが,高齢者の語りの背景には死の問題があるようである。そこで人生と死の問題について予備的文献調査を実施した。これらを成果としてまとめていくのが今後の研究目標となる。
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Research Products
(1 results)