2019 Fiscal Year Research-status Report
Evolutionary Psychological Research on Disgust Modulation by Interpersonal Closeness
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18K03006
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大坪 庸介 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (80322775)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 嫌悪感情 / 対人的嫌悪 / 孤独感 / source effect |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、disgust感情のsource effectと孤独感、愛着スタイル等との関連を調べるインターネット調査を実施した。本調査では、特定のターゲット人物とハグする、飲み物の回し飲みをする等、潜在的に嫌悪感情を喚起する場面を描いた複数のシナリオを提示し、実際の知り合いとそれらの行為をするときにどれくらい嫌悪感情を感じると思うかを回答してもらった。また、参加者内要因として、ターゲットとして想定する相手との親密さの高低を操作した。さらに、参加者間要因としてターゲット人物の性別を操作した。その結果、相手が同性の相手であれ異性の相手であれ、親密さの高い相手とシナリオに書かれた行為をすると想像したときの嫌悪感情が低いことが明らかになった。この効果は、女性に異性のターゲット人物を想定してもらったときに特に顕著であったが、全体としては親密さが高いほど嫌悪感が下がるというパターンは一貫していた。また、様々なシナリオを含めて調査を行ったが、同様のパターンがすべてのシナリオで確認され、source effectの一般性が確認された。次に、親密さの高低が参加者内要因であったため、参加者ごとに親密な相手に対する嫌悪感と親密ではない相手に対する嫌悪感の差をとり、嫌悪感調整得点として、調整得点が孤独感、愛着スタイル等と相関するかを調べた。その結果、調整得点は孤独感や愛着スタイルといった対人的傾向とは相関していなかった。しかし嫌悪敏感性はターゲットの親しさによらず嫌悪感情と正の相関することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度には、研究計画に従い、嫌悪感と相関することが知られる心拍を従属変数のひとつとして研究したが、心拍では親密さに応じた嫌悪感の差を検出することができなかった(心拍と嫌悪感に関しては副次的な結果が得られ、Konishi, Himichi, & Ohtsubo, in pressとして発表した)。このため、2019年度は心拍を測定する研究をあきらめ、インターネットによる調査に集中することとした。結果は仮説を支持する部分とそうでない部分があるが、計画している研究は実施できており、副次的な論文も出ているため、研究プロジェクト全体として考えると順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の調査で、孤独感等との相関がみられなかったため、計画していた対人関係との関連の検討を中止する。そのかわり、2020年度には親密さの効果をより詳細に検討する予定である。具体的には、親密さの程度がほどほどの相手に対する嫌悪感は、親密な相手とそうでない相手の中間に位置するのか、それとも親密さが高い相手でなければ親密さがほどほどでも低い相手でも同じ程度の嫌悪感を喚起するのかを検討する予定である。
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