2020 Fiscal Year Annual Research Report
Evolutionary Psychological Research on Disgust Modulation by Interpersonal Closeness
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18K03006
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大坪 庸介 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (80322775)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 嫌悪感 / source effect / 孤独感 / 親密さ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、嫌悪感情のsource effectと言われる現象について詳細に検討することであった。Source effectとは、嫌悪刺激の発生源が親しい人物であるほど嫌悪感が抑制されること(あるいは心理的距離の遠い相手が嫌悪刺激の発生源の場合、嫌悪感が強くなること)である。例えば、親密な相手の汗のついたシャツはさほど嫌悪感を催さないが、親しくない相手の汗のついたシャツには強い嫌悪感を催すといった現象がこれにあたる。申請時には、この現象は対人的距離のシグナルとしても機能しているのではないかと考えていた。 研究期間を通じて、(1) source effectを測定するためのシナリオ(嫌悪感を催すような状況を描いたシナリオ)の作成、(2)それを用いたsource effectの測定、(3)心拍によるsource effectの同定を目指していた。しかし、(3)については何度か測定を試みたが、シナリオを用いた方法では十分に心拍に反映されない可能性が示唆された(ただし、嫌悪感により心拍が低下するという先行研究の知見の追試には成功した)。 研究(1), (2)については順調に研究が進み、同じ嫌悪シナリオであっても親しい相手との間で生じたものだと想像するとそうでない場合よりも嫌悪感が低く報告されることが複数の調査で一貫して示された。その一方、source effectの個人差は対人関係指標とは一貫して相関することはなく、source effectが対人的親密さのシグナルとなっているという当初の仮説を支持する結果は得られなかった。最終年度である2020年度に実施した調査では、source effectは異性が嫌悪刺激の発生源である場合に特に強くなることが示された。
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