2021 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical and empirical study on societal differences in adaptive strategies for building trusting relationships
Project/Area Number |
18K03011
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
真島 理恵 北海道医療大学, 心理科学部, 講師 (30509162)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 信頼 / 協力 / 進化 / 信頼回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、社会における関係構築・維持場面における適応的な行動方略を特定することを目指す。近年、社会での相互協力達成における評判、噂の重要性が指摘されているが、もし第三者から得た噂が既存関係の相手への信頼性評価に大きな影響を与えるのならば、相手の持つ情報の把握に資源を投資することが関係維持方略として不可欠となる可能性がある。そこで、人々が事前情報を持つ人物に関する噂を第三者から得た場合の、噂に対する信憑性判断のパターンを明らかにするため、噂の内容・対象人物への事前印象・噂の数を操作し、噂を信じる程度を測定する場面想定法の調査を行った。その結果、事前印象が良い人物に関しては、人々は悪い噂よりも良い噂を信じることが明らかとなり、既存の(良好な)関係の維持に際しては、「相手が第三者からどのような噂を得ているか」に注意を払う重要性は小さいことが示唆された。 また、周囲からの信頼を失った場合にそれを回復することは、関係維持、関係構築のいずれを目指す場合にも重要となる。そこで、どのような行動が信頼回復に有効かを検討するため、非行歴を持つ対象人物が様々な行動をとる(とらない)場面を記述したシナリオを提示し、対象人物に対する印象評定を測定する調査を、非行歴の開示(発覚)状況と行動の種類を操作して実施した。その結果、非行歴の発覚により対象人物への印象は悪くなるものの、協力行動をとること、能力や勤勉さを示すことが、その人物への信頼回復に寄与する可能性が示された。また、個人間の関係維持・構築に効果をもつと目される方略が一般的な利己的行動の抑制にも有効かを、調査により検討した。様々なメッセージの非常時における利己的行動の抑制効果を場面想定法を用いた調査で検討した結果、互恵性・利他性の喚起よりも、利己的行動の必要性が小さいことを強調するメッセージが非常時の利己的行動の抑制に効果をもつことが示唆された。
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