2019 Fiscal Year Research-status Report
An integrative approach to elucidate social cognition and behavior generated by ambient temperature
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18K03015
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大江 朋子 帝京大学, 文学部, 准教授 (30422372)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 環境温度 / 身体温度 / 表情認知 / 攻撃 / 援助 / バーチャルリアリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
環境温度が人の社会的反応に及ぼす影響として知られる知見は,環境温度が攻撃行動と対人的温かさの両方を促進するという,一見矛盾するものである。本研究プロジェクトでは,これまで異なる研究文脈において検討されてきた両者の流れを統合し,環境温度が関わる社会的認知基盤とそこから多様な社会的行動が生起する過程の解明を目指している。2019年度には,各実験参加者が高温と低温の両環境で課題を実行できる環境を整備し,次の2つの研究を行った。 表情認知研究:怒りと恐怖はいずれも不快感情であるが,怒りは闘争を,恐怖は逃走をうながす。他者の表情に怒りを知覚しやすくなることは,その後の相互作用で攻撃を生み出す一因となる可能性がある。また,従来の研究で示される表情識別の性差を考慮すると,温度環境による表情認知のゆがみは女性よりも男性において強いと考えられる。顔写真を怒りと恐怖のいずれかに分類する課題を用いて実験を行った結果,表情認知のゆがみは,高温ブースに先に入ってそこで課題をしたときにのみ生じ,予測とは反対に,その条件での怒り分類率は他の条件より低かった。少なくとも初めのうちは,高温環境が他者の怒りを弱く(恐怖を強く)知覚させることを示唆している。怒り分類率には性差もみられたが,環境温度に関わらず,女性は男性より顔写真をすばやく明確に分類していた。この性差は,怒り顔よりも恐怖顔の分類で顕著であった。 攻撃と援助の研究:バーチャルリアリティ空間で攻撃と援助を測定する実験課題を作成した。実験参加者は360°の動的空間で刺激人物に遭遇する。その人物の行動に応じて,参加者は攻撃,援助,無反応のいずれかを選択する。高温と低温のブースで課題をする間,ブース内の気温と参加者の身体温度がリアルタイムで計測される。予備的な実験と解析を繰り返し,課題や環境設定の完成度を高め,反応のノイズを抑えることができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度には,研究計画当初に予期することができなかった問題が2件発生したため,研究の実施がやや遅れている。1つは工事の不具合である。実験室のある建物の工事が完了したものの,実験室そのものに不具合があることがわかり,他の建物に新たな実験室を整えたため,予定していた実験の開始が遅れた。もう一つは新型コロナウィスル(covid-19)の感染拡大である。バーチャルリアリティ空間での攻撃と援助の実験については,この感染拡大を受け,2020年2月末から3月に予定されていた実験を全てキャンセルした。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度には,(1) 新型コロナウィスル(covid-19)による行動制限が解除された場合には,2019年度から中断されているバーチャルリアリティの実験を再開するとともに,(2)これまでに実施した研究の成果を統合し,環境温度によって自動的な制御反応が生じ,それが社会的行動にまで影響する過程をモデル化する。(3)モデルの妥当性を確認するための実証研究を必要に応じて行っていく。
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Research Products
(4 results)