2018 Fiscal Year Research-status Report
感情共有の機能に関する実験的検討:関係構築と集合的態度形成における役割
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18K03017
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
田中 知恵 明治学院大学, 心理学部, 教授 (50407574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 めぐみ 淑徳大学, 総合福祉学部, 准教授 (40706941)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会心理学 / 社会的認知 / 感情共有 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度には、以下の4研究を実施した。 「研究1:送り手の感情共有の期待感に関する検討」予備調査で項目を収集し、10項目の尺度を作成した。調査を実施し尺度の内的整合性を確認した。また自尊感情や他者意識との関連について検討した。 「研究2:感情共有に対する送り手の期待感と受け手の効力感に関する検討」予備調査で項目を収集し、受け手の感情共有の効力感に関する10項目の尺度を作成した。研究1で作成した尺度を加えて調査を実施し、各尺度の内的整合性を確認した。また尺度間の関連性や共感性など他の尺度との関連性について検討した。 「研究3:送り手の集団成員性が受け手の感情共有に及ぼす影響1」実験シナリオにより、あるターゲット人物のエピソードを送り手が伝える状況を設定し、送り手の集団成員性(内集団・外集団)と送り手の感情(あこがれ・おもしろい)を操作した。その結果、おもしろさという感情に対し、送り手が内集団成員である場合には外集団成員である場合よりも、その感情が共有された。また感情が共有されるほど、受け手は送り手の態度と同様の態度をターゲット人物に対し示すことが示された。 「研究4:送り手の集団成員性が受け手の感情共有に及ぼす影響2」送り手の集団成員性(内集団で親密性高・内集団で親密性低・外集団)と送り手の感情を操作し、実験を実施した。データ入力が終了しており、今後、結果を分析し研究3の結果が再現されるか検討する。また研究2で作成した受け手の感情共有の効力感によって効果が調整されるか検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、「送り手の感情共有の期待感」に関して検討した(研究1)。さらに、次年度以降の課題であった「受け手の感情共有の効力感」に対しても検討を行うことができた(研究2)。 研究2が実施できたことにより研究の順番を入れ替え、当初予定していた「感情経験の共通性が送り手の感情表出に及ぼす影響」については次年度以降に検討することとした。そして「受け手が送り手に対して持つ関係構築意図が感情共有に及ぼす影響」について先に検討することとし、研究を進めている(研究3,研究4)。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は「感情経験の共通性が送り手の感情表出に及ぼす影響」について、実験を実施し検討を行う。参加者にはペアで課題を実施すると告げ、あるエピソードに対する相手の感情を示すことで感情経験の共通性を操作する。次に、別のエピソードを参加者に示し、相手とのコミュニケーションにおける感情表出の割合を測定する予定である。 また「感情を共有された知覚が受け手との関係構築意図に及ぼす影響」について検討する。参加者には3名で課題を実施すると告げ、他の2名との感情経験の共通性の高低を操作する。その後、その2名との関係構築意図などについて測定する予定である。 「コミュニケーション・チェーンの感情共有と集合的態度の形成」に関しては予備調査等を計画し、集合的態度を測定する適切な指標についても検討した上で、研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は実験刺激の作成が順調に進んだため、当初の予定よりも人件費等が縮小できた。次年度以降は新たな刺激を用いて実験を実施する必要があり、そのための予備調査実施や刺激作成のための謝金に使用する予定である。
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