2019 Fiscal Year Research-status Report
マインド・コントロールからの離脱心理プロセス解明とテロリスト対策の研究
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18K03018
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
西田 公昭 立正大学, 心理学部, 教授 (10237703)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 動機づけ / 批判的思考 / 情緒的な支援 / 正当化 / 覚醒 / 誤信確認 / 社会的回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の研究で、1)動機づけ、2)批判的思考、3)情緒的な支援の3要因が見出され、各段階に応じて異なる状況認知、専門家や元メンバーや家族といった支援者の役割があることが明らかになった。昨年度は、仮説モデルである1)正当化、2)、覚醒、3)誤信確認、4)回復の4において、これら3要因を調査して確認していくことにした。まず、カルト団体に入信した元信者8名(エホバの証人6名, 統一協会2名)に面接を実施した。その成果を基礎にして、無記名自筆式の質問紙型の予備調査を元信者に実施した(2019年8月-10月)。女性元信者32名のサンプルを得て、統計的な分析を行った。 その結果、教団に対する不満や疑問によって、元信者は脱会以前の段階で、信仰の揺らぎを体験したことを確認した。1)思考停止、2)教義による正当化、3)認知追加による補償、4)情報の選択的接触に分類される行動をとっていたことが示された。次に、脱会を決意した時の心情を分析し、家族などの情緒的支援があって、どうにも矛盾を収めきれないこと、今後の人生のやり直しが可能であるとの期待を受け止めて、苦しくも意思決定したことを確認した。またさらに脱会後の意思を表明した後の心理を分析した結果、誤信していたことを確認するため、さまざまな動機づけ、批判的思考、情緒的支援を受けたことを確認できた。また、脱会した後の社会的回復に向けて、積極的な情報収集や、家族関係の修復、さらには、所属していた団体の批判や他の脱会者支援にも、強く従事していることが明らかになった。以上が昨年度の成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症が拡大してきたため、外国での脱過激化活動団体やその専門機関との連携が進めにくくなっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
海外の脱過激化対策の現状をさぐること、また、に予定していた計画にしたがって質問紙調査計画を遂行して、実証的なエビデンスを獲得する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の拡大のため、成果発表予定の国際学会が延期になったこと、また、海外研究機関への視察調査がその影響で延期されていることがあり、状況が良なり次第、実施する予定である。
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Research Products
(4 results)