2023 Fiscal Year Annual Research Report
A study of terrorist countermeasures by understanding cult leaving process from psychological manipulated state.
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18K03018
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
西田 公昭 立正大学, 心理学部, 教授 (10237703)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カルト信者の成人した子供 / 脱過激化 / マインド・コントロール |
Outline of Annual Research Achievements |
破壊的カルト者からの離脱者対象に質問紙調査を実施して脱会過程のモデリングを行うため,質問紙調査を2023年6月から8月に実施した。調査対象者は,宗教や思想の熱狂的信者の成人した子どもを対象として,全体で897名に無記名自筆式で回答を求めた。年齢は18歳から83歳までの範囲に分布し,平均年齢は51.08歳(SD=15.17)であった。そのうち,親の思想や宗教から脱会した対象者184名を分析対象とした。 実施の手続きとして,スノーボール方式で収集するとともに,Web調査を併用して実施した。質問紙は,脱会状況,脱会時の年齢,脱会する意思が揺らがなくなるまでにかかった時間,脱会したいと思ったきっかけの有無,また離教時に考えたことを問う質問などに回答を求めた。他にも,いくつかの個人属性や,親の信じる思想的団体とその信仰の程度,親の信じる団体に対するカルト性の認知,現在の親への態度について,苦悩・葛藤,子ども時代の嫌悪経験についても質問した。 その結果,脱会過程の第1段階は、「正当化」であり、集団の思想や指令に対して疑問を抱きながらも従事し、その行動を正当化する認知や説明を繰り返す段階が確認された。そしてその正当化が妥当な思考として不可能な状態に陥って、第2段階「覚醒」が起こる。この段階では、思想や指令が集団目標や個人の目的と決定的に矛盾したり、不整合であったりする経験から確信を喪失して、誤りを受容した結果、心理的不安定に陥ることが示された。さらに第3段階「誤信確認」では、これまで知らなかった情報、特に隠されていた情報を探索し、思想や指示が明らかに誤りであり、騙されていたことを確認する段階になる。そして最終的に第4段階として、その集団に関わる前の信念群とこれからの信念群とを繋ぎ合わせ、集団内で活動した時期の信念群と調整して統合していく「心理的回復と社会復帰」過程に入ることが示された。
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Research Products
(2 results)