2019 Fiscal Year Research-status Report
Exploratory development of Third Space bridging public and private sphere for poor youth
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18K03029
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
茂呂 雄二 筑波大学, 人間系(副学長), 教授 (50157939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 磨貴子 明治大学, 国際日本学部, 専任准教授 (80581686)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 貧困の子ども・青年 / 学習 / 第三空間 / 社会物質的アレンジメント / 発達 / パフォーマンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトは、貧困や格差を背景とする子ども・若者の私的空間から公共空間への移行困難と、この困難がもたらす社会情動スキルの未発達問題に挑戦する、教育心理学的なアクションリサーチである。①東京足立区における貧困の子ども達の発達支援場面、②茨城県北西部における若者就労支援、③トルコにおけるシリア難民の子弟への発達支援場面を取り上げて、調査研究を進めた。 ①東京足立区における貧困の子ども達の発達支援場面:子ども達が自ら企画実行するタレントショー(子ども達が普段ひとに見せない歌やダンス等のパフォーマンスを披露するショー)を実践した。2018年1月から8月まで合計15回の企画会議を行い、本番を2018年8月に開催した。②茨城県北西部における若者就労支援:当初は,利用者のやりたいことをクラウドファンドによって資金を集め実現するという目的で始まった。やりたいことの検討・吟味を行ったところ,障がい者就労支援と耕作放棄地問題の解消に対して取り組むという活動方針が決まった。③トルコにおけるシリア難民の子弟への発達支援場面(研究分担者岸担当):トルコにおけるシリア難民を対象とした第3空間を通した感情発達理論の実践を行なった。 以上の研究で収集したデータをもとにして、論文執筆や書籍の編集を行って、成果発信につとめた。一方で、第三空間に適切に記述介入するための方法論としての、社会物資的アレンジメントに関する理解を深化させて、交換関係を軸とする社会技術をもとに、理論的な視角を精緻化するための議論を進めた。さらにブロックチェイン技術に着目して、子ども・青年を第3空間/公空間に繋ぐ事を可能にする、ICT技術の適用のために基礎的な検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度2018年度に収集分析したデータを下に、成果発信に務めた。10.研究発表にそめしたように、海外学術誌を含む学術論文ならびに研究代表者の編集による書籍等の成果発信ができた。 また、定期的に科研研究会を開催して、参加者相互のコミュニケーションをはかるとともに、成果の一部発信を行うことができ、研究への社会的陽性にも応えることができた。 また、継続的に調査フィールドのステークホルダとも連携をすることで、研究成果の現地への還元もすることができた。 以上のことから、当初の計画以上の進展が認められると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
貧困の子どもならびに青年達を公的空間に繋ぐ、第3空間の実装をさらに進める。①東京都足立区ならびに川崎市ならびに機会を得てトルコでの実地調査も含めて、調査場所を確保して、調査を進める。②それと同時に第3空間の実装をICT機器やアプリ技術の開発を含めて、教育工学的技法を利用するための基礎的検討を進める。具体的には、ブロックチェーン技術あるいは分散ネットワーク技術によって、貧困の子ども達と社会資本を提供する大人達とのトランザクションをデータベース化することを実装化して、不意に生起する新しいギブゲット関係の可視化を試みる。③第3空間の意味を、交換論の視点から精緻化する事を試みる。既に、北本・茂呂(2020)で指摘したように、交換関係の多様化による新しい携帯の創造をパフォーマンスとしての交換と呼んでいるが、新しいパフォーマンスを第3空間へと持ち込むとともに、第3空間がそのような新しい交換を最大化するとの視点に基づいて、交換論ならびにパフォーマンス論の深化を目ざす。 以上の議論をまとめて、書籍のかたちで成果発信を目ざす。
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Causes of Carryover |
2月以降の予算執行、特に、予定した国内の成果発表会議や海外渡航が新型コロナ感染症対策のために中止となったため、次年度使用額が生じたものである。今後、コロナ問題が一段落した段階で、成果発表会儀を開催し、海外渡航の可能性にも進めることとしたい。
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Research Products
(6 results)