2022 Fiscal Year Research-status Report
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18K03031
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中島 伸子 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (40293188)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 痛みの表現 / 病気理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、痛みに関する言語表現の理解の発達に関して、以前に収集したデータを分析した。1歳から9歳の長子を有する母親627 名を対象に、痛みの諸表現についてその頻度を5段階(1全くない2ほとんどない3たまにある4ときどきある5よくある)で評定してもらった。痛みやその部位の表現方法について、非言語表現「表情で示す(3.0~4.0)」「部位を指示・触れる(3.3~4.3)」は、年齢に関わらず「たまにある」前後から「ときどきある」前後の範囲で一定程度見られる。言語表現(「痛いと言葉で表す」「痛む部位の場所を指示する言葉を発する<このへんが痛いなど>」「痛む部位の名称を言葉で表す」)は1歳前半から2歳後半にかけて増加し、それ以降、非言語表現と同等かそれ以上の頻度でみられるようになる。1歳前半の子どもは「泣いたり叫んだり」の頻度が最も多いが(4.6)、1歳後半(3.5)にかけて減少し、4歳(3.8)以降、7~9歳(2.3)に至るまで徐々に減少する。このように主たる痛み表現には年齢差があるが、部位表現の正確さは年齢に関係なく高く評価される(4段階中: 3.1~3.4)。痛みの感じ方や詳細の表現については、「オノマトペを用いた表現」「痛みの程度の言語表現」「発症時期や経緯の言語表現」は徐々に増加するが、4歳以降は顕著な年齢差がない。「原因の言語表現」は徐々に増加するが2歳後半以降は顕著な年齢差がない(1歳前半~2歳後半:1.2~2.6)。「比喩表現」は全体的に頻度が低いが6歳まで徐々に増加しそれ以降は顕著な年齢差がない(1歳前半~6歳:1.2~2.0)。一般的な小児看護のテキストの記述と比較すると、やや早期に生起する項目が多いことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ感染により幼児を対象とした調査を依頼することが極めて難しい状況となった。そのため、予定していた「痛みのコントロールの発達」の検討について、幼児を対象とした個別調査が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の点から研究をさらに進める。痛みのコントロールについての理解:幼児を対象とした調査を実施し、既に収集した小学生、中学生、大学生のデータと合わせて分析することで発達的変化を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染により幼児を対象とした調査を依頼することが極めて難しい状況となった。そのため、予定していた「痛みのコントロールの発達」の検討について、幼児、児童、生徒を対象とした個別調査が実施できなかった。また「痛みの言語表現の発達」の検討について、成果の一部の学会発表のため旅費が発生する予定であったが、研究代表者の体調不良のためとりやめた。以上の理由から助成金が生じた。今年度は、以下の点から研究を進め、学会発表を行う予定である。痛みのコントロールについての理解について幼児を対象とした調査を実施し、既に収集した小学生、中学生、大学生のデータと合わせて分析することで発達的変化を検討する。
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