2020 Fiscal Year Research-status Report
アクセプタンスと価値に着目した思春期・青年期の学校適応を向上させる教育支援
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18K03032
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
石津 憲一郎 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (40530142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 芳幸 佐賀大学, 学校教育学研究科, 准教授 (30510367)
大月 友 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (20508353)
佐藤 修哉 東京成徳大学, 応用心理学部, 特別研究員 (20793243)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 学校適応 / 非行 / 体験の回避 / 怒りの向社会的処理 / 抑うつ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度についても感情のアクセプタンスを向上させる心理教育プログラムの検討を行い,そのパイロット授業を実施した。しかしながら,コロナ禍の影響を受け,予定していた実験群と統制群の心理教育プログラムを実施することは難しかった。一方,プログラムの予備的研究としてアクセプタンスを向上させることの理論的意義に関する調査研究の分析を行った。まず,中学生498名を対象に,学校適応感尺度,外在的問題(非行傾向),抑うつ傾向,学校での怒り尺度短縮版(MSAI),価値とコミットメント尺度を回答してもらい,ポワソン回帰モデルによる,非行傾向の予測をおこなった。その結果,学校適応感そのものは非行傾向をほとんど予測しないことが示された。その一方で,怒り体験の中の「皮肉的態度」「破壊的対処」と,抑うつ傾向の「意欲の減退」,価値とコミットメント尺度の「回避の持続」が有意な正の影響を与えていることが示された。「意欲の減退」は抑うつにおける中核症状であるとされることを勘案すると,子供たちの示す「皮肉や破壊」だけではなく,抑うつのような内在化問題と,それを強化する感情回避に焦点をあてることが,外在的問題を低減させる有効な支援となる可能性が示唆された。以上の結果を踏まえると,子供たちの内在化問題は外在化問題を予測することに加え,そうした内在化問題は体験の回避や価値の不明確さから影響を受けるため,体験の回避(アクセプタンス)や価値の明確さに焦点を当てた心理教育プログラムを実施するある程度の妥当性が得られたと判断できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響を受け,予定していた心理教育プログラムは実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
心理教育プログラムの実施を計画している。すでに得られた知見をもとに,アクセプタンスと価値に着目した心理教育を実施することで,子供たちの適応がどのように変化するかを検討していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響を受け,発表予定であった学会で発表することができなかった。次年度はコロナの影響次第のところがあるが,予定していた学会参加や研究打合せにも研究費の使用を予定している。
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Research Products
(10 results)