2018 Fiscal Year Research-status Report
ユーモアの機能的形態の分化とその発達的要因および心理社会的適応への影響
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18K03033
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
伊藤 大幸 中部大学, 現代教育学部, 講師 (80611433)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ユーモア / 発達精神病理学 / いじめ / 心理社会的適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
ユーモア(笑い)は、日常生活で最も生起頻度の高い感情の一つであり、対人関係の構築・維持やメンタルヘルスの維持・向上などの適応的な機能を持つ一方で、他者へのからかい・いじめや自虐による自尊心の低下などの不適応的な機能を併せ持つ二面的な現象である。ユーモアは、元来、社会的な遊びを媒介する感情として進化したとされ、とりわけ子どもの社会生活においては重要な役割を果たすと考えられているが、ユーモアの発達メカニズムや児童・青年期の心理社会的適応への影響に関する実証的知見は不足している。本研究では、ユーモアの多様な機能的形態を明確に区別した上で、①それらがどのような発達的プロセスで分化するのか、②その個人差は、どのような発達的要因によって規定されるのか、また、③対人関係やメンタルヘルスなどの心理社会的適応にどのような影響を及ぼすのかについて、保育所・小・中学校における大規模縦断調査によって包括的に検証する。 本年度は先行研究の知見や理論的考察をもとに、小中学生のユーモアスタイルを評価する質問紙尺度を開発し、小学4年生から中学3年生の約5000名を対象に調査を実施し、9割以上の有効回答を得た。因子分析の結果、先行研究で示されている4因子構造(親和的ユーモア、攻撃的ユーモア、自己高揚ユーモア、自虐的ユーモア)が再現され、因子的妥当性が確認された。また、各下位尺度は、友人関係、攻撃性、抑うつなどの外的基準に対し、理論的に整合的な相関を示し、尺度の構成概念妥当性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の想定通りに小中学生向けのユーモアスタイルの質問紙尺度を開発し、大規模データによってその信頼性・妥当性を検証した。
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Strategy for Future Research Activity |
ユーモアの各機能的形態と発達的要因および心理社会的適応の双方向的な因果関係を検証するため、初年度調査と同一の小中学生を対象に縦断調査を実施する。
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Causes of Carryover |
平成30年度にはすでに保有している解析ソフトのライセンスを使用し、当初予定していた解析ソフトの購入を次年度に行うこととしたため。
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Research Products
(6 results)