2019 Fiscal Year Research-status Report
いじめやネット上の諸問題に対処する多様な実践の総合的比較評価手法の開発
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18K03036
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
戸田 有一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 和雄 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (10639058)
三宅 幹子 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (80352061)
金綱 知征 香川大学, 教育学部, 准教授 (50524518)
西野 泰代 広島修道大学, 健康科学部, 教授 (40610530)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | いじめ / いじめ免疫プログラム / いじめ免疫尺度 / 実践評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、「いじめ免疫プログラム」の実践評価及び「いじめ免疫プログラム」の開発のための本調査を実施した。「スマホサミット」に関しては、新たな支援を行った。また、国際学会に参加し、英文書籍の編集を行った。 1.「いじめ免疫プログラム」の実践の展開と実践評価:世田谷区内の多数の小学校に実践の紹介を行い(公開授業)、先駆的な実践を支援し、その記述をした。実践評価に関しては、予備調査を行い、いじめ免疫尺度の開発にとりかかった。その成果は、日本教育心理学会にて自主シンポジウム「『いじめ免疫プログラム』の試行と評価方法論の模索」を開催して報告した。実践者が「いじめ免疫プログラムの試行実践」の詳細を、研究者が「いじめ免疫尺度の原案と検討」を報告し、そのうえで実践者が「試行実践のなかでの『子どもの名言』と保護者アンケートによる実践評価」を報告した。また、6校において本調査を行った。 2.「スマホサミット」の草の根実践の支援:高石市スマホサミットの実践を支援し、生徒のアンケート結果の分析支援を行った。スマホサミットで焦点をあてるべき評価項目に関して、実践者と研究者で協議・検討を重ねた。 3.国際学会参加・招聘:2019年6月にダブリンで行われたWABF(国際いじめ対策フォーラム)に出席し、発表をするとともに、各国の実践者や研究者と意見交換を行った。また、10月には、山東師範大学で中国全土の研究者を集めた国際学会に、基調講演者のひとりとして招かれた。 4.研究成果の論文・著書:マンガ・ゲーム・アプリをいじめやネットいじめ対策に用いる方策に関する、日本と韓国の研究者による共編著の執筆・編集に取り組んだ。本研究代表者が主編著者である。また、Wiley-Blackwell社からでるいじめ対策のハンドブックに、章分担執筆をした。国内での編著の出版に関しても、出版社との検討会を重ねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「いじめ免疫プログラム」の展開に関しては、順調に進展した。実践紹介リーフレットが完成し、成果を日本教育心理学会でシンポジウムのかたちで発表し、その過程はTBSテレビの密着取材を受け放映された。また、共同通信社の取材もあり、全国各紙に紹介された。東京都のほかの区でも実践の導入が検討された。スマホサミットに関しては、大阪府高石市において実践支援を行い、新たな進展があった。 実践の評価に関しては、予備調査を経て、小学校6校における実践前と実践後の本調査の実施ができた。現在、そのデータの分析中である。順調な進展と言える。 上記の実践に関連する論文や分担章の執筆に関しては、国際的な著作の分担章や『児童心理学の進歩』への論文が出版された。英文によるハンドブックへの執筆や日韓共同の編著も執筆が進み、おおむね順調な進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までは順調であったが、今年度はコロナ危機のために、実践の普及や実践評価は限定的にならざるをえない。国内外の出張ができなくとも、オンラインでの共同は可能な範囲ですすめるが、小学校での調査の実施は難しい可能性があり、その場合、科研費による研究の実施期間の延長をせざるをえないと考えられる。 1.「いじめ免疫プログラム」の実践の普及:世田谷区内の全小学校に、「いじめ免疫プログラム」を普及させるために、2020年4月に全小学校の担当教員を対象とした研修会を実施する予定であったが、コロナ危機のために延期となった。今年度中に開催できるかどうか、見通しはたっていない。 2.「スマホサミット」の評価項目の確立:引き続き、実践者と研究者で検討を重ねるが、サミットの実践そのものの開催も難しいと考えられ、その調査を行うことはできないかもしれない。 3.国際学会参加及び国際的な共同:2020年7月に行われる予定であったプラハでの国際心理学会議は延期となり、また、11月に招聘講演者として参加する予定のウィーンでの会議も、開催が危ぶまれる。しかし、シンガポールの研究者らとの新たな共同研究も始まる見込みであり、オンラインでの調査などを実施することが検討されている。 4.研究成果の論文・著書:中国との共同での英文書籍編著の企画があり、検討を開始した。国内での編著の出版に関しても、新たな企画が検討段階である。
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Causes of Carryover |
データ入力や打ち合わせのための旅費を、ネットでの打ち合わせなどを用いて、極力節減した。国際学会の参加に関しても、予想したほど費用がかからなかった。 2020年度においては、国際学会への参加に用いる予定であるが、コロナ危機のために国際学会の開催が危ぶまれ、その場合には、研究期間の延長などの方策をとる。
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