2020 Fiscal Year Research-status Report
いじめやネット上の諸問題に対処する多様な実践の総合的比較評価手法の開発
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18K03036
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
戸田 有一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 和雄 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (10639058)
三宅 幹子 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (80352061)
金綱 知征 香川大学, 教育学部, 准教授 (50524518)
西野 泰代 広島修道大学, 健康科学部, 教授 (40610530)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | いじめ / いじめ免疫プログラム / いじめ免疫尺度 / 実践評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は「いじめ免疫プログラム」開発のための本調査のデータを入力し、分析を行った。しかし、世田谷区内全公立小学校に実践を推奨する研修の機会がコロナ禍のために中止になり、さらなる展開をすることができなかった。「スマホサミット」に関しては、高石市での実践において、GIGAスクール構想のもとでの新たな展開を話し合った。英文書籍の発刊、国際シンポジウムでの基調講演、ユネスコ等が行う会議への専門家としての参画など、成果の発信をした。 1.「いじめ免疫プログラム」の実践の展開と実践評価:世田谷区内の全公立小学校に「いじめ免疫プログラム」を普及させるため、2020年4月に全小学校のいじめ対策の担当教員を対象とした研修会を実施する予定であったが、コロナ禍のために延期となり、そのまま中止になった。本プログラムを教職大学院の授業などで紹介し、大阪の一部の学校で実践されるなどの展開があった。 2.「スマホサミット」の草の根実践の支援:高石市スマホサミットの実践を引き続き支援し、生徒のアンケート結果の分析支援を行った。スマホサミットをGIGAスクール時代にあわせてバージョンアップする方向で話し合いを重ねた。 3.国際的なネットワーク:11月にウィーンで行われたいじめ対策の国際シンポジウムに基調講演者として招聘され、オンラインで講演を行った。ユネスコ等が行ういじめ対策会議のPanel of Experts for UNESCO Consultationに選ばれて議論に参加した。 4.研究成果の論文・著書:マンガ・ゲーム・アプリをいじめやネットいじめ対策に用いる方策に関する、韓国の教授との共編著の書籍が刊行された。また、新たな英文書籍発刊の企画を、葛西真記子教授(鳴門教育大学)とスティーヴン・ラッセル教授(テキサス大学)と開始し、プロポーザルを出版社に提出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「いじめ免疫プログラム」の本調査は、2学期末の調査は無事に終了したが、3学期末の調査はコロナ禍のためにいくつかの小学校では実施できなかった。データの入力と分析もすすんでいるが、全小学校への導入のための研修が実施できず、リーフレットの配布にとどまっている。スマホサミットに関しては、大阪府高石市において実践支援を行い、GIGAスクール時代に即した新たな次年度の構想を話し合った。 研究としては一定の成果を得られていると思われるが、当初の普及計画がコロナ禍のためにできておらず、その意味で「やや遅れている」と判断した。3年間であった研究期間をもう1年延長する申請を認めていただいたので、「いじめ免疫プログラム」の別の地域での普及と、スマホサミットのバージョンアップをすることで、当初の目的を達成したい。 いじめ対策に関する論文や分担章の執筆に関しては、十分できたと思われる。英文書籍、国際学会参加報告の論文などが公刊され、次の企画も進むなど、出版に関しては当初の計画以上の進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度はコロナ禍のために、実践の普及において制約を受けてしまった。今年度も遠隔地での実践支援は難しいと思われるので、教職大学院や大阪府内の教員研修などにおいて「いじめ免疫プログラム」の普及に努め、本調査データの学会発表や論文化をすすめる。 1.「いじめ免疫プログラム」の実践の普及:東京都への出張が今年度の秋頃まで難しいと思われるので、本学教職大学院や大阪府内の教員研修において、「いじめ免疫プログラム」を紹介し、普及に努める。オンラインでの普及に関しても、工夫をして取り組みたい。 2.「スマホサミット」の新たな展開の支援:各小中学校から集まった子どもたちが、その成果を各小中学校に持ち帰って全校及び保護者に発信する取り組みを昨年度試行したが、本年度はそれを本格的に展開する予定である。その際、保護者による評価を試行する。 3.国際学会参加及び国際的な共同:2021年11月にストックホルムで行われる「世界いじめ対策フォーラム」で「いじめ免疫尺度」に関する発表を行う。また、日本教育心理学会総会において、「いじめ免疫プログラム」の評価に関するシンポジウムを行う。加えて、いじめ対策に関するテーマで、海外の若手研究者を招いての連続セミナーを年間6回開催する。 4.研究成果の論文・著書:アジア諸国のSOGIと学校生活(いじめを含む)に関する書籍の編集を行う。いじめ免疫プログラムの評価に関する論文を執筆して国際誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のために国際学会に参加できず、また、大規模な実践普及の動きができなかったために、予定していた支出ができなかった。そのために、次年度使用額が生じた。 今年度も海外での学会参加は難しく、国際学会参加旅費に充当する可能性は低いが、もしも11月のWABF2021(世界いじめ対策フォーラム)に現地参加できるようになった場合には、その旅費に使う。また、関西地域での実践普及のために、効果的に使用する。
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