2023 Fiscal Year Annual Research Report
The development of "teaching behavior according to content and purpose of the instruction" in early childhood and its cognitive basis
Project/Area Number |
18K03037
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
木下 孝司 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (10221920)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教示行為 / 幼児 / 抑制機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもは大人から“教えられる”存在としてみなされがちであるが,日常場面を見ると,幼い幼児でさえも大人や仲間にさまざまなことを教えたがる姿が認められ,発達心理学において,幼児の教示行為が注目されている。本研究では,教える活動の内容や教える目的に応じて,幼児はいかに教え方を調整するのか,また,それぞれの教え方にどのような認知能力が必要なのかを明らかにすることを目的とした。 本研究では,4歳児と5歳児を対象にして,学習者のパペットに,折り紙のチューリップを教える場面を設定した。その際,教える目的によって, 1)迅速教示群:折り紙のチューリップを急いでもってくるように頼まれたパペットに教える,2)熟達教示群:パペットが他者に教えられるように教える,という2群に対象児を分けた。 主な結果を総合すると,次のようになる。1)迅速教示群と熟達教示群の間で,教え方に明確な違いを確認することはできなかった。2)学習者のエラーに対する,教え方の変化に注目したところ,4,5歳児ともに,教示を繰り返す中で言語発話数を増加させていた。また,5歳児においてのみ,2回目の教示で代行反応を減少させて,相手の折り紙に手を出さない間接的な教示に変化させる者が多かった。4)代行反応は抑制能力によって負の影響を受けていることが明らかにされた一方,心の理論能力と関連する教示の構成要素はなかった。 さらに,教える行為の内容に関して,ある目標を達成するための道具的な行為と,それ自体が目標となる慣習的な行為があり,今年度,4歳児を対象にして,慣習的な行為をより忠実に教える傾向を確認した。本研究期間中,新型コロナウィルス感染症の影響で,保育現場での調査を実施できない事態が続いたため,教える内容と教え方の関連に関する検討課題は残っている。
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[Book] 発達保障入門2023
Author(s)
全国障害者問題研究会・越野和之・木下孝司
Total Pages
95
Publisher
全国障害者問題研究会出版部
ISBN
9784881341162