2018 Fiscal Year Research-status Report
思春期青年期における自己の否定的側面への対処と親による支援についての検討
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18K03039
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
中山 留美子 奈良教育大学, 学校教育講座, 准教授 (60555506)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自己評価 / 自尊感情 / 否定的自己への対処 / 親の支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,青年期に経験される自己評価・自尊心の低下について,その体験過程と克服あるいは適応の過程について,親の支援の在り方を含めて検討することを目的としている。2年目までに仮説モデルを構成し,その後モデルの検証を試みることが研究の全体計画である。 研究計画に基づき,初年度に予定していた大学生へのインタビュー調査(自己評価・自尊心の低下の時期を概ね終えた対象への回顧的な情報収集)を行った。21名の大学生に「自己に関する否定的経験」の内容や,その経験をした際の心理過程,他者からの助言や支援,その後の考え方等への影響について聴き取りを行い,そのすべての内容について逐語録を作成した。 分析としてはまず,逐語録からエピソードを収集する作業を行った。具体的には,58個のエピソード(一人1~5個)を特定して内容による分類を行った。詳細な内容の分析は,逐語録をもとに修正版グラウンデッドセオリー(M-GTA, 木下,2003など)を用いて行い,否定的経験の体験過程に関する仮説モデルの構築を行った。内容の分類結果は発達心理学会において発表し,構築した仮説モデルは2019年度に発表を予定している。 平行して,同じく初年度に予定していた大学生の親に対するインタビュー調査も実施した。実施対象は3名と当初の予定より少ない実施となったが,親視点からの体験過程に関する豊富な語りを得ることが出来た。こちらもすべての内容について逐語録を作成しており,2019年度当初には逐語録の分析を開始する。大学生データから作成した仮説モデルと対応づける形で,仮説モデルを発展させていくことが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究費の制約等もあり,初年度は逐語録をほとんど研究代表者が独力で作成し,分析準備に多くの時間を割いたため,構成した仮説モデルを発表するところまで年度内に到達できなかった。また,大学生の親世代の調査対象の募集を直接の声かけによってのみ行ったことから,年度内に予定通り集まらず,親の支援に関わる情報が限定的にしか得られなかった。2年目は予定通りの進捗に追いつけるよう募集方法や分析の方法に工夫を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は,否定的自己の経験のさなかにあると考えられる中高生とその親を対象に聴き取り調査を行い,モデルの修正(仮説モデルの完成)を行うことを計画している。ただし,初年度の調査で,大学生時期が必ずしも「否定的自己を乗り越えた時期」とも言えないことが明らかになったことから,成人期世代への追加調査も検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
親へのインタビューの逐語録化が年度内にすべて修了しなかったことが原因である。2019年度初頭には終了予定であり,予定通りの予算使用を終える予定である。
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Research Products
(1 results)