2020 Fiscal Year Research-status Report
思春期青年期における自己の否定的側面への対処と親による支援についての検討
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18K03039
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
中山 留美子 奈良教育大学, 学校教育講座, 准教授 (60555506)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 養育態度 / 自己愛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(3年目)は自己の否定的側面に対する青年期中期にある青年(高校生)本人と親の関わりを解明することを目的とした検討を行った。具体的には,2年目に実施できなかった親へのインタビューを実施するとともに,本年度予定していた青年本人への質問紙調査を行った。また,比較検討のため,大学生に対する予備的な質問紙調査も実施した。 質問紙調査の実施時期が年度末にずれ込んだため,詳細な検討は4年目にまたいで行っていく予定であるが,3年目中には先行研究で検討されてきた自己愛と親の養育態度の関連に思春期的な悩みの要因を加えた分析を行った。その結果,親の応答性が自己愛の比較的健康な側面であることが指摘されている誇大性を高めることが高校生と大学生のデータで共に示され,大学生のデータでは,思春期的悩みと応答性の交互作用に有意な影響があることが示された。具体的には,思春期的悩みが少ない場合に,応答性が誇大性を高める効果が高かった。高校生のデータでは,思春期的悩みの効果は見られなかったが,ネガティブ情動の高さと親の応答性,要求性の交互作用項かが示され,応答性が低く要求性の高い養育を受けている場合に,ネガティブ情動が誇大性を低めることが明らかとなった。 評価過敏性については,大学生では有意な影響因が示されず,高校生では思春期的悩み,ネガティブ情動,要求性のそれぞれが高いほど評価過敏性を高めることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍による学内対応の多忙化により,研究に着手するのが大幅に遅れた。また,親インタビューは当初10名程度を想定していたが,緊急事態宣言などの影響で対象が4名にとどまり,モデルを検討するのに十分な対象の幅をもたせられなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に高校生を対象としたデータ収集をしており,今後はまずこのデータを詳細に分析する。ただし,分析の視点を得るためのモデルについて,本人と親へのインタビューを中心とした精緻化をしていく予定であったが,コロナ禍により困難となっているため,文研研究を中心とした検討に切り替えてモデルの精緻化を行う予定である。 自己愛や自尊感情に関わる文献をもとに自己の否定的側面の認識やそれへの対処に関わる要因を整理し,オンライン調査等を中心とした実証的検討の計画を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により学会等出張の予定がすべてキャンセルされ,使用予定額の大半が残る結果となった。2021年度も同様の状況が予想されることから,次年度使用額は主に文研研究のための費用(文献購入費等)とオンライン調査費用として使用予定である。
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Research Products
(1 results)