2020 Fiscal Year Research-status Report
Generativity of Professional Identity in Clinical Psychologists and Art Craftsmen
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18K03040
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡本 祐子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 名誉教授 (90213991)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 世代継承性 / 専門家アイデンティティ / 心理力動 / 心理臨床家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,Erikson(1950)の提唱した世代継承性Generativityの心理的プロセスとその心理力動を,発達的,臨床的視点から実証的に解明することを目的とした。特に,心理臨床家と工芸職人という専門的職業に焦点を絞り,それぞれの専門家アイデンティティが,上の世代から自世代,さらに次世代へ継承されていくプロセスと心理力動を,師弟関係を中心とした視点からミクロなレベルで分析することをねらいとした。 その基盤として,2018年度は,『世代継承性研究の展望―アイデンティティから世代継承性へ―』(岡本祐子(編著) ナカニシヤ出版, 総503ページ)を刊行した。本書は,世代継承性に関する諸外国とわが国における理論的,実証的研究をすべて収集・精読し,領域別に展望・論評したものである。また,世代継承性の概念に関する理論的解説を述べた。 2019年度は,本書を土台として,個別面接調査を実施する計画であった。しかしながら,研究代表者の広島大学定年退職にあたり,主任指導教員・主査を務める博士課程後期院生3名の学位論文指導に相当な時間と活力を要したことにより,本課題に取り組む十分な時間が確保できなかった。 2020年度は,新型コロナ感染症の拡大のため,面接調査は全く実施できなかった。しかし,本研究の面接調査の手法を,対象者の専門家アイデンティティの発達と世代継承性のプロセスと特質をとらえるための「経験の語り」の聴き方・語り手への向き合い方としてまとめ,日本心理臨床学会第9回大会ワークショップにて講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナ感染症の拡大のため,海外出張は不可能となり,国内出張も強い自粛が求められた。そのため,アメリカ合衆国Austen Riggs Centerの心理臨床家,および日本国内の心理臨床家と工芸職人を対象とした面接調査は全く実施できなかった。 2021年度末まで,研究機関延長を願い出,承認された。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,新型コロナ感染症の状況をみながら,国内の対象者に対して面接調査を実施する予定である。 海外の対象者については,現時点では新型コロナ感染症の収束状況の見通しが不透明で,予定が立てられないため断念する。 また,本研究の中で開発した面接調査の「方法」と,実施できた面接調査の研究成果を,著書(岡本祐子(著)『経験の語りを聴く』ナカニシヤ出版)として刊行する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の拡大のため,本研究の面接調査実施のための海外出張および国内出張が,全くできなかった。海外旅費・国内旅費として計上していた金額は,全面的に次年度に繰り越しせざるを得ない。 2021年度は,新型コロナ感染症の状況をみながら,可能な限り2020年度の研究計画を遂行する計画である。
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