2018 Fiscal Year Research-status Report
Atypical development of words production in the children with developmental disorders
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18K03054
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
小山 正 神戸学院大学, 心理学部, 教授 (50242889)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非定型性 / 語彙発達 / 物への行為 / 発達速度 / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達障害の子どもへの早期支援はその後の発達において重要である。特に言語発達の観点からの支援は、自閉スペクトラム症を除いては十分検討されていない。そのための言語発達に見られる非定型発達に関する資料は見当たらない。中でも語彙領域における精緻化とその学習速度は、子どもの発達の反映であり、その後の読みなどの発達にも影響を与える。本研究では、発達障害児の初期語彙学習の様相とその非定型性を明らかにし、彼らへの有効な言語発達支援を考えていく上での資料を提示することを目的としている。特に、本研究は、これまで明らかにされていなかった発達障害幼児の表出語彙獲得に注目し、そこに見られる非定型性を明らかにし、その基盤となる行動上の特徴や動作的認知の発達との関連を示すことを目的としている。平成30年度は、遊びの中での動作的認知の発達を明らかにするため、これまでの研究を基に,家庭での日常生活における子どもの遊びに関する独自の調査用紙 (「お子さんの家庭での遊びに関する調査」4訂版) を作成し、「マッカーサー乳幼児言語発達質問紙・日本語版CDI」による語彙発達の調査とともに保育所に在籍する3歳までの幼児と児童・発達支援センターに在籍する就学前の発達障害児の保護者に協力を依頼した。さらに、児童・発達支援センターにおいて、発達障害のある子どもを対象として、行動上の特徴や遊びの中での物への行為、語彙学習の様相と行動上の特徴に関する予備的観察を行った。その結果、物への行為に見られる認知発達の様相と語彙発達の様相との関連性が示唆され、物への行為と言語における領域間マッピッング (cross-domain mapping) の発達にバリエーションと非定型性が見られた。次年度は、定型発達児と発達障害をもつ子どもの縦断資料を集積し,語彙発達に見られる速度とそこに見られるバリエーションについてさらに検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後の研究に向けて、研究協力者の同意を得て、資料の収集を開始している。また、本研究の背景にある言語発達における多様性やわが国における保育場面における現状と課題に関する情報・資料を集積した。さらに、英国での発達障害をもつ子どもの言語発達における非定型性を明らかにしていく上での資料を収集でき、おおむね順調に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、継続して縦断的に資料を収集し、計画通り、資料の分析に入り、逐次、国内外の学会において研究成果の発表を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
3月に資料収集のための英国出張での旅費における航空運賃が当初の予算よりも下回ったので、次年度使用額が生じた。次年度には、資料収集とその分析、研究成果発表があるため,人件費・謝金、旅費が当初の予算よりも、不足することが考えられ、今年度生じた次年度使用額を次年度の人件費・謝金、旅費として使用する計画である。
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