2019 Fiscal Year Research-status Report
Atypical development of words production in the children with developmental disorders
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18K03054
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
小山 正 神戸学院大学, 心理学部, 教授 (50242889)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 初期語彙学習の様相 / 表出語50語 / ダイナミックシステムズ / スピードアップ / 空間的操作 / 人の行為・経験の表象化 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達障害をもつ事例の言語発達支援においては,認知発達との関連での検討が重要である。本研究は,発達障害児の初期語彙学習の様相とその非定型性を明らかにすることを目的としている。今年度は,保育園に在籍する定型発達の子どもに関して,家庭での日常生活における子どもの認知と遊びの発達に関する調査と,「マッカーサー乳幼児言語発達質問紙・日本語版CDI」による語彙発達の調査を縦断的に実施し,資料を収集した。また,児童発達支援センターに通所している発達障害の事例に関して,同様の調査に加えて,こちらが用意した玩具で園の保育室において約30分の子どもと筆者が遊びその場面をVTRに収め,縦断的資料を収集した。 分析においては,知的発達症の事例の有意味語未出現の時期から表出語数50語の時期に関してダイナミックシステムの観点からまず検討した。その結果,初語期から表出語50語への移行の様相では,物での構成,人形へのふりが統制パラメータになっていた。 自閉スペクトラム症 (ASD) の事例においては,知的発達症を背景にもつ事例も多い。知的発達症を背景にもつASDの子どもの言語発達上の困難さに関して,標準化された尺度における言語発達指数が70以下の事例では,構音には問題は見られないが,文法,語彙における障害が指摘されている (Hulme & Snowling, 2009)。特に,初期の語彙発達に注目することは,その後の言語発達との関連で重要であることから,知的発達症を背景にもつASDの事例の初期の表出語の増加と認知発達とのの関連性を事例的に検討した。 その結果,表出語数語の段階からスピードアップした事例では,家庭で人との行為・経験の表象化が並行して発達していた。表出語数100語から150語の水準で,語獲得のペースが緩慢になるケースがあり,空間的操作や家庭での人の行為・経験の表象化があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大のため,2020年3月に予定していた英国での継続的な文献的資料の収集が今年度は延期となった。定型発達発達の子ども,知的発達症他の発達障害の事例に関して,縦断的資料が収集でき,その分析に入っている。分析結果の一部は,第64 回日本音声言語学会において発表した。また,Jean Piaget Socieaty (ポスター発表・受理,新型コロナウィルス感染拡大のため延期となっている),日本心理学会第84回大会 (2020年9月) にて発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,2019年度同様,縦断的資料を収集し,語彙学習における非定型性,その様相,発達速度と行動上との関連性を明らかにしていく。研究計画の変更はなし。
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Causes of Carryover |
英国での文献的資料収集のため,2020年3月17日より予定していた海外出張が,新型コロナウィルス感染拡大のため,渡英できず,旅費の残額が生じた。
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