2019 Fiscal Year Research-status Report
誤答理由を推定する認知診断モデル開発とその実践的適用
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18K03057
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
尾崎 幸謙 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (50574612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 真悟 国立情報学研究所, 社会共有知研究センター, 特任研究員 (00745052)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | テスト理論 / 認知診断モデル / 多肢選択問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,本科研費研究の屋台骨となる,多肢選択型の能力測定問題に対する回答データから受検者個々人の誤答理由を推定する認知診断モデルの研究を遂行して論文投稿を行った。論文は学術雑誌Behaviormetrikaに採択された(Ozaki, Sugawara, & Arai, 2020)。多肢選択型の能力測定問題の誤答選択肢は,特定の誤りを犯す受検者が選ぶように問題作成者が意図して作成していることが多い。したがって,回答データから各受検者の誤答傾向を分析すれば,今後の学習方針を立てるにあたって受検者と教育者の双方にとって有益である。しかし,回答データから各受検者がどのような系統的誤りを犯しているか分析されることはほぼない。これは,この目的を達成するための統計モデルがなかったからである。Ozaki, Sugawara, & Arai(2020)はこれを達成した研究である。 本件度はさらに,この統計モデルを適用してその価値を検証するためのデータ収集をwebにて行った。収集したのはデータリテラシーを測定するための多肢選択問題の回答データであり,問題作成は研究代表者が行った。開発した統計モデルをこの調査データに適用すれば,各受検者がどの程度のデータリテラシー能力を持っているかということだけでなく,データリテラシーに関してどのような誤った考え方を各受検者が持っているかを推定することができる。したがって,この方法を採用場面で使えば,採用者は各採用希望者を能力の高低だけでなく,多角的視点から採用希望者の合否を判断することが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題ではモデル開発と実データへの適用の2点を行う予定であるが,そのうちの1点目は論文が採択され,2点目はデータ収集まで完了していることが理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題名は「誤答理由を推定する認知診断モデル開発とその実践的適用」であることから,今後は実践的適用の検討を進めていく。具体的には,昨年度末に実施したデータリテラシーテストのデータに開発した方法を適用し,仮に採用場面でデータリテラシーテストを使った場合にどのようなメリットが発生するか検討する。さらに,追加でデータ収集を行ってもう1つの有効な適用例を示す。
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Causes of Carryover |
研究において開発したモデルを適用して,このモデルの有効性を検証するためのデータ収集を2回に分けて行うことにした。2019年度は第1回目のみを実施したため,次年度使用額が発生している。次年度は2回目のデータ収集を行う。
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