2020 Fiscal Year Research-status Report
The effect of parents' proactive & reactive aggressiveness on children's socio-psychological maladjustment
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18K03058
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
濱口 佳和 筑波大学, 人間系, 教授 (20272289)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 父母 / 攻撃性 / 養育行動 / 児童 / 社会的行動 / 心理的不適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は大きく2つの研究を実施した。第1は,高校生を対象としたReactive-Proactive Aggression Questionnaire(RPQ)の作成である(研究1)。もう一つは,小学生の子どもを持つ親を対象とした,親の攻撃性・児童への養育行動・児童の心理社会的適応についての調査研究である。研究1については,調査会社にモニター登録をしている全国の高校生200名を対象に,2種類の質問紙調査を実施した(研究2)。ともに日本語版PRQの23項目を含み,A版ではほかに,身体的攻撃,言語的攻撃,敵意(秦,1990),関係性攻撃(櫻井他,2005), SDQ(情緒的問題,行為問題, 向社会的行動;Goodman&Goodman,2009), B版では他に,多次元性共感尺度(登張, 2003), 非行接近・回避尺度(近藤, 2004), 反社会的行動欲求・実行尺度(濱口未発表)の各尺度への回答を求めた。RPQは想定された能動的攻撃,反応的攻撃の2因子が発見され,尺度化の結果,高い信頼性が得られた。いずれの尺度も3種類の攻撃行動と心理的不適応の尺度との間に想定された相関パタンが見られた。研究2では,父母の攻撃性を能動的・反応的攻撃性(濱口,2017),身体的攻撃,敵意(安藤他, 1999), 言語的行動(秦, 1990), 関係性攻撃(磯部・菱沼, 2007)の各側面から包括的に査定し,その2~3週間後に同一の対象者から,改訂版小学生保護者用養育行動尺度(濱口他, 2021, 廣瀬・濱口, 2021), CBCL4/18, CSBST(Crick & Grotpeter, 1995)を実施した。2時点のデータを対応づけ,父母の攻撃性と養育行動,子どもの不適応・社会的情動との関連を検討した。親の攻撃性の多様な側面が養育行動を通して子どもの不適応に影響することが明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVIDパンデミックにより,中高生を対象とした対面事態での質問紙調査は実施しなかったが,高校生対象のWeb調査は実施でき,予測された成果が上がっている。父母を対象とした調査は,縦断調査の第1回目であり,予定通り実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
データ収集は,父母の攻撃性と養育行動,子どもの心理社会的不適応との関連についてのWeb調査を,第1回目から起算して4カ月後と12カ月後に実施する。2020年度に収集したデータについては,父母と家族のでもグラフィック変数との関連についての分析をさらに進めること,全てのデータを得たうえで,改めて因果モデルの検証を行うことを目標とする。2021年度中にデータ分析を終え,2022年度(最終年度)は内外の学術誌への投稿論文の作成を中心に進める予定である。
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Causes of Carryover |
COVIDパンデミックの影響で,調査はすべてWeb調査となった。その為,予定よりWeb調査費がかかり,「その他」の支出が大きくなった。次年度の縦断調査との兼ね合いから,父母を対象とした調査を年度末に実行したが、その際見積額と支払額の若干の相違が生じ,残額が発生した。年度末であったため無理に執行せず,次年度使用分に繰り越すこととした。そのため,ごくわずかな残額が生じている。この費用は2021年度は質問紙購入などの資金に編入して使用する。
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