2021 Fiscal Year Research-status Report
The effect of parents' proactive & reactive aggressiveness on children's socio-psychological maladjustment
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18K03058
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
濱口 佳和 筑波大学, 人間系, 教授 (20272289)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 能動的・反応的攻撃性 / 共感性 / 養育行動 / 社会的行動 / 抑うつ / 小学生 / 父母 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は2021年3月から開始したWebによる縦断調査の2年目にあたる。1年後にあたる2022年3月に,昨年と同じ調査会社のモニターで,1年前の調査に参加した,小学生の親を持つ父母411名に対して,昨年と同じ内容の調査をWeb上で参加を呼びかけた。昨年同様,10日間の間隔をあけて,2度の調査を実施した。1回目では,親自身の能動的・反応的攻撃性(濱口,2017),身体的攻撃,言語的攻撃(秦, 1990),関係性攻撃(磯部・菱沼, 2007),共感性(登張, 2002)を測定した。2回目は,親の養育行動(肯定的養育行動,濱口他, 2021;自律性促進,暖かい関与,友好的交流,冷静な叱責:否定的養育行動,桑原・濱口,2021;不適切な罰,過剰な許容,感情的叱責),子どもの身体的攻撃,関係性攻撃,向社会的行動,抑うつ・不安傾向を測定した。昨年度の調査にも参加した対象者のうち,最終的に377名のデータが得られた。分析は,2022年のデータについて,①能動的・反応的攻撃性の因子構造の確認,②能動的・反応的攻撃性並びに共感性と親の肯定的・否定的養育行動との関連性の検討,③親の肯定的・否定的養育行動と子どもの社会的行動(身体的・関係性攻撃,向社会的行動)並びに抑うつ・不安傾向との関連を,階層的重回帰分析により検討した。その結果,2021年調査と同様の能動的・反応的攻撃性の因子パタンが確認され,共感性と肯定的養育行動との高い正の相関,能動的攻撃性と否定的養育行動との正の相関が見られた。また,児童の攻撃行動には親の否定的養育の高さと肯定的養育の低さが有意な関連を示すことが明らかにされた。2021年のデータと2022年のデータを用いて,親の攻撃性・共感性が親の養育行動,児童の社会的行動との関連を検討したところ,類似した研究成果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り2021年度は2020年度から開始した縦断研究の2年目の測定を行い,1年間のインターバルをとったうえで,親の攻撃性,養育行動,児童の社会的行動と抑うつ傾向の因果関係を前方視的デザインで検討することを目的としていた。それが実現できている。また,成果発表についても,2018年度に実施した小学生の親の養育行動尺度の構成とその児童の社会的行動との関連の検討,2019年度に実施したRPQ日本語版作成に関する研究をそれぞれ日本教育心理学会総会と日本心理学会大会でポスター発表できたため,当面の目標は達成できている。以上により,順調な進捗状況と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,これまでの成果をまとめて学会発表と論文投稿をすることが目標となる。まず,昨年度の研究成果は,①肯定的養育行動尺度,否定的養育行動尺度それぞれの因子的妥当性・併存的妥当性の検証(日本カウンセリング学会第54回大会)②小学生の親の能動的・反応的攻撃性の因子パタンの検討(日本学校心理学会24回大会),③親の能動的・反応的攻撃性と共感性が肯定的・否定的養育行動との関連性の検討(日本教育心理学会第64回大会),④父母の攻撃性から子どもの攻撃行動への因果連鎖の検討(日本犯罪心理学会第59回大会)で発表を行う。これに加えて,これらの研究成果を,筑波大学心理学研究,子どもの虐待とネグレクト,教育心理学研究,心理学研究といった学術雑誌への投稿論文としてまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
総額ではほぼ予定通りの執行ができたが,購入物品で見積もり総額をぴったりに合わせられなかったために,誤差的に2,356円の差額が生じた。今年度の物品費の中に残額を繰り入れ,全額を完全に執行する予定である。
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