2021 Fiscal Year Research-status Report
学校におけるトラウマの理解と介入的支援に関する研究
Project/Area Number |
18K03064
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
瀧野 揚三 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60206919)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トラウマインフォームドケア / 介入的支援 / 学校危機 / 心理教育 / 学校心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学校危機後の対応に加え、逆境的体験等のある児童生徒の理解、リスクを減らし二次被害の防止などを含め、学校におけるトラウマを念頭においた包括的な介入的支援体制の導入について取り組んでいる。その成果から、児童生徒のトラウマの理解と対応をトラウマインフォームドケア(以下TIC)と呼び、教職員向けに利用可能な資料として作成し、研修会、相談、コンサルテーション等で活用することを目的としている。TICは、これまでの学校危機対応と危機からの回復に向けた介入的支援と、基本的な方向性を同じとする取組みであり、介入的支援経験を活用しながら対応できる。学校危機対応に関する研修を受け、一定の知識があり、危機対応経験のある教職員を対象にすることで、新たなTICという枠組みであるが、導入は円滑に進行するものと考えられる。また、危機対応経験を生かすことにもつながり、学校における包括的なトラウマへの対応につながるものである。ただし、原因についての理解や児童生徒の反応についての理解については、一定の研修や継続的なコンサルテーションが必要であり、研修教材開発と介入、コンサルテーション、介入支援の効果評価を行ってきている。 今年度は、逆境的体験等のある児童生徒の理解、リスクを減らし二次被害の防止など学校におけるトラウマを念頭においた包括的な介入的支援体制の導入のため、1つの小学校、2つの中学校で研修会を計画し、研修後のコンサルテーションを予定した。さらに、学校危機対応の経験のある東日本大震災の被災地の教育委員会と連携しながら、研修の機会を設定した。教職員を対象に、児童生徒のトラウマの理解と対応を解説するために解説資料を活用した。附属学校の教員研修、教職大学院の講義、学校安全推進センター、校長会、教育委員会等での研修会でTICの取組みの紹介を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
逆境的体験等のある児童生徒の理解、リスクを減らし二次被害の防止などを含め、学校におけるトラウマを念頭においた包括的な介入的支援体制の導入のために、1つの小学校、2つの中学校で研修会を計画し、研修後のコンサルテーションを予定した。教職員を対象に、トラウマ体験から生じる児童生徒の問題に対する共通理解に焦点をあてた研修を予定し、加えて、定期的にケース検討などのコンサルテーション活動も実施し、研修内容を補足する取組みを計画したが、1小学校を除き、コロナ禍での学校の休校等により、学校の予定が大幅に変更になり、研修会とコンサルテーションの実施が延期になった。 そのなかで、教職大学院の講義、校長会、教育委員会、メンタルサポートセンターの研修会等では、TICの取組みの紹介を行なった。また、TICに関して実践先進地域である米国の専門学会等より、導入方法、継続方法などについてのインターネット上で情報収集を行い、概念の整理と日本への導入可能性について検討している。また、米国などの学会や研修会に参加し、発表、情報交換、資料収集の予定であったが、渡航できず、オンラインの国際学会で研究発表を行ない、情報交換できた。今後は、オンラインでの学会参加などの機会をとらえ、研究を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度までの取組みを継続しながら、感染症により学校における実践について制約があるなかで、トラウマインフォームドケアの導入と継続実施、新規に研修を始める学校にむけて、研修と継続的コンサルテーションのでの実施準備を行なっていきたいと考えている。被災地の教育委員会や学校、本務先の学校安全推進センターにおける研修会等で機会をとらえて取組みの紹介を継続して行っていきたい。オンラインでの研修の可能性も検討していきたい。 学校における支援につなげるために、新たな子どもと保護者向けの認知行動療法についての研修を受けて、学校におけるケ継続的コンサルテーションに生かせていけたらと考えている。 また、実践先進地である米国の学会等でも情報収集を継続する予定である。米国の学会や研修会等で、オンラインでの学会参加により、情報収集を継続し、研究を進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
感染症の蔓延により、予定していた旅費等が利用できなかった。 感染状況の改善と感染症対応策を取ることで、本年度に旅費として使用する計画である。
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