2021 Fiscal Year Annual Research Report
Developmental psychological study about mindreading related to social cognition
Project/Area Number |
18K03065
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
林 創 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (80437178)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,幼児期から児童期の子どもを対象に,「子どもの社会性を支える『察する』心の発達心理学的研究」に着目し,その発達過程を実証的な研究によって検討するものである。 令和3年度は,社会性を支える「察する」心が働く上で,残されていた課題として自己呈示の発達に着目して検討した。私たちは自分がどのような人物であるかを表現したり演出することで,対人関係を作り出すことがある。このような行動が自己呈示と呼ばれ,他者からの承認を得たり,否認を避けたりする行動だと考えられている。これまでの研究から自己呈示には,自分の能力や性格を誇張する方向の自己高揚と,自分の能力や性格を控えめに提示する方向の自己卑下の2つのタイプがあるとされ,対人場面における社会的技法として注目されている。ここでは,先行研究を参考に,小学生と大人を対象とすることで,2つのタイプの自己呈示の理解の発達について検討した。その結果,全体的な傾向として,児童期に大きな変化が見られ,高学年では大人の理解に近づいていた。自己呈示を理解する上では,自己呈示者が他者にどのように評価されるのかによって自己呈示の意味が変わるため,複雑な心の状態の読み取りが必要になる。児童期は,二次の心の理論が発達する年齢でもあるため,今後は二次の心の理論の働きとの関連も検討することが有益と考えられた。以上より,これまで先行研究が少なかった自己呈示の理解の発達について明確にすることができ,社会性を支える察する心に関して,一歩深いレベルで検討することができたと考えられる。
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