2019 Fiscal Year Research-status Report
アクティブラーニングを促すノートテイキングの指導方法の開発
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18K03067
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中條 和光 広島大学, 教育学研究科, 教授 (90197632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 愛子 広島大学, 教育学研究科, 教授 (20403909)
魚崎 祐子 玉川大学, 教育学部, 准教授 (20386650)
藤木 大介 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (60403599)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アクティブラーニング / 教授学習心理学 / 学習方略 / 初等教育 / 中等教育 / 大学初年次教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,① 学習者のノートテイキング方略の実態把握,② 教師による体系的なノート取り指導方法の開発という2つの目的を掲げ,研究初年度の平成30年度は,文献資料の収集整理とノート取り行動の実態把握のためのノートテイキング方略使用尺度を作成した。また,ノートの紙面構成の効果の基礎研究を行った。 令和元年度は,①ノートテイキング方略使用の調査,②紙面構成と内容理解の関係に関する実験,③小学生のノートテイキングの実態調査を行った。 ①では,ノートテイキング方略使用を規定する要因に関する調査研究(大学生対象)を行い,学習に対する効力感の低い学生が有効性を認めつつも使用コストの高い方略を使わないことを明らかにした(学術誌に投稿中)。また,テストへの持ち込み資料作成と学修成果との対応について調査し,配付された資料を書き写すだけの資料作成は学修成果にはつながらない一方で、配付資料にはない情報の書き込みの量が多い資料作成が学修成果につながっていることを明らかにし,ノートテイキングにおける能動性が学修成果と関係する実証を得た。また,200名の大学生を対象に学習観とノートテイキングの関連を調査し分析中である(学術誌に投稿予定)。 ②では,歴史の教材を用いて,文章のレイアウト(箇条書きか文章形式か)とわかりやすさや記憶成績との関係を調べ,一般に情報を体制化しやすいとされる箇条書きよりも時系列的関係や因果関係を把握しやすい文章形式のほうが学修につながる可能性を示した(学術誌に投稿中)。 ③では,小学校高学年を対象に,普段のノートテイキングに関する調査を行うとともに,算数の授業のノートを収集した。児童のノートの板書の再現度等を分析したところ,「めあてまとめ」の再現率は高いが,教師の強調箇所を書き取ることができない場合も多く,計算過程等も書き取れていないことが分かった(学術誌に投稿予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自己点検評価の理由 2年目として,大学生を対象とするノート取り方略使用を規定する要因について実践現場に還元すべき知見が得られたこと,ノートテイキングにおける能動性が学修成果と関係することの実証データが得られたこと,ノートの紙面構成が理解度や記憶成績と関係することを示唆する知見が得られたこと,また,児童のノートテイキングの実態把握に関して資料収集が進んだことなど,本研究で目的に照らして,研究は概ね順調に進展していると言えるため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染拡大により学校現場が通常授業を行っていないなど,新規の調査や実験を行いにくい状況にある。しかし,すでに収集した資料によって研究遂行は十分可能であり,またインターネット等を活用した調査を工夫するなどの代替手段を講じることもできるため,当初の計画を大きく変更することなく研究を進める予定である。 最終年度である令和2年度は,① 学習者のノートテイキング方略の実態把握に関して,学術誌への投稿等による成果発表を行う。② 教師による体系的なノート取り指導方法の開発に関しては,これまでに収集した資料の分析に基づいて,ノートテイキングの方法やその指導方法など,実践現場に有用な情報発信を行う。
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Causes of Carryover |
旅費,消耗品の支出が予定よりも少なかったため。 次年度の消耗品,論文作成の経費等に充当する。
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Research Products
(7 results)