2019 Fiscal Year Research-status Report
Identity development in vocational high-school students: Prospective relations with work adjustment and turnover
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18K03068
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉村 和美 広島大学, 教育学研究科, 教授 (20249288)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 発達心理学 / 青年期 / アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,日本の専門高校の生徒におけるアイデンティティの発達と卒業後の職場適応および離職傾向の関連を検討することである。岡山県立専門高校 (工業,商業,農業,家政,福祉,看護,情報)の生徒を対象に, (1) 3年間の在学中に年に1度の縦断調査で得られたアイデンティティの発達が,卒業1年後の職場適応や早期の離職傾向を予測するのか,(2) 在学中のアイデンティティの発達は,家庭・学校・地域との関わりによってどのように促されるのかを検討する。そのためにまず,アイデンティティ,家庭(親子関係),学校(学科所属感),地域(地域への愛着)を測定するための項目の選定および信頼性・妥当性の検討(研究1),次に,高校1年次から3年次にわたるアイデンティティの発達的変化と家庭・学校・地域要因の関連の検討(研究2),最後に,高校3年間に渡るアイデンティ ティ発達の軌跡パターン(個人差)と卒業(就職)1年後の職場適応,就業状況(転職・離職),心理的健康(人生満足度)の関連(研究3)を行う。 平成31年度(令和元年度)は研究2として(a)高校1年次(1時点目)の結果(約30校,4732名)を用いたアイデンティティと家庭・学校・地域要因の関連の検討と(b)縦断調査の高校2年次(2時点目)の実施を行った。(a)について,アイデンティティの得点が高い生徒は,親とのつながり,学科所属感,地域への愛着が高かったことから,アイデンティティの発達は家庭,学校,地域との良好な関係性によって支えられていることが示唆された。加えて,アイデンティティの得点の高い生徒は,肯定的感情が高く否定的感情が低いこと,生活満足度が高いこと,進路意識が高いことが見出され,適応が良好であることが示唆された。(b)については,調査対象者は約30校,4390名の生徒の生徒からデータを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 予定通り,同じ約30校,約4000名の生徒を対象として,1時点目に引き続き2時点目の調査を無事実施できたことは,縦断研究において必要不可欠な目標を達成したといえる。 (2) 1時点目のデータを使用して,アイデンティティと家庭(親子関係),学校(学科所属感),地域(地域への愛着)との関連を検討し,仮説通りの結果を得ることができた。このことは,今後,時点を増やして両者の関係を検討する際の結果を予測する上で,重要な示唆を得たといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,同一の調査対象者に対して12月に高校3年次(第3回目)の調査を実施する予定である。計画の変更はない。
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