2022 Fiscal Year Annual Research Report
Identity development in vocational high-school students: Prospective relations with work adjustment and turnover
Project/Area Number |
18K03068
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉村 和美 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (20249288)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 発達 / 青年期 / アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,日本の専門高校生において,3年間の在学中に年1度の縦断調査によって,在学中のアイデンティティ発達が,家庭・学校・地域との関わりでどのように促されるのか,また,3年間のアイデンティティの発達が,卒業後の適応をどのように予測するのかを明らかにすることである。 昨年度に,対象者が卒業後1年半が経過した時点で,就業状況,職場適応(進学したものは学校適応),心理的健康について追跡調査を行なった。約4000名の卒業生のうち426名(進学253名,就職173名,うち28名は離職経験あり)から回答が得られた。在学中の1時点目から3時点目のアイデンティティの発達的変化 と,学業指標による職場適応(進学者)および職業指標による職場適応(就職者)の関連を分析した。その結果,進学者では,高校3年間を通してアイデンティティの平均値が高かった人ほど,進学後の勉強でのストレスは低く,充実感や学校適応感が高かった。また,高校3年間でアイデンティティの得点上昇が大きかった人ほど,進学後の勉強でのストレス状態は低かった。特に勉強から距離を置く無関心な態度が低かった。就職者では,高校3年間を通してアイデンティティの平均値が高かった人ほど,就職後の仕事でのストレス状態は低く,充実感は高かった。以上から,在学中にアイデンティティの明確な自覚をしっかりと発達させていることが,卒業後の適応にとって重要であることが示唆された。昨年度,コロナ禍のため国際学会での発表ができなかったが,今年度はこの成果を,アイルランドのダブリンで開催されたヨーロッパ青年心理学会にて発表した。
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