2018 Fiscal Year Research-status Report
分数の数覚を支える元素的分数の特定と分数数覚を向上させる学習プログラムの開発
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18K03071
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
岡本 真彦 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (40254445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷田 勇樹 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 特任助教(常勤) (80800218)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 分数 / 数認知 / 基準分数 / 分数学習プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①分数認知に熟達した成人の分数の基準数およびそれを利用できる分数のレパートリーを特定すること(研究1)、②児童を対象にして、基準数のレパートリーが発達的にどのように拡張するか、さらにそのレパートリーの大きさと算数成績の関連について横断的な研究で明らかにすること(研究2)、③児童のレパートリーの拡張が可能な学習プログラムを開発すること及びその効果の数一般の認知への波及性の検討(研究3)である。 平成30年度は、数認知研究で伝統的に用いられてきた数直線推定課題用いて、分数の基準数、基準数を利用して量を把握できるサブ基準数になる分数、それら以外の量を把握できず割算のような過程を利用してその値を求めるような複雑な過程を要する分数を特定するための研究を行なった。 30名の大学生に対して、数直線推定課題を行なった。数直線推定課題の分数刺激として、18個の既約分数を用いた。実験の結果、(1)分母の数が大きくなるほど、数直線推定に要する反応時間が長くなり、かつ、真の数量からの誤差距離が大きくなること、(2)1/2は反応時間が短く、誤差距離も小さいこと、(3)分母が3である分数の反応時間が短くなることが明らかになった。これまでの唯一の先行研究であるLiu(2017)は、1/4, 1/3, 1/2, 2/3, 3/4が基準分数である可能性を報告しているが、本研究の結果は、1/2, 1/3, 2/3が基準分数であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度は、数直線推定課題を用いて基準分数を明らかにすることができ、かつ、大学生と小・中学生に対して同じ実験課題を実施するためのiPadプログラムを作成した。これらのことから、計画通り順調に研究を推進できていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
iPadプログラムはほぼ完成しているので、実験プログラムのバグとりを行なった後、大学生に対する調査を行うと同時に、小学校での調査に着手する予定である。また、iPadを用いて数直線推定課題を実施するプログラムの開発にも着手する予定である。
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Causes of Carryover |
当初実験用PCを本年度購入予定であったが、実験に使用するMATLABのバージョンアップにより実験環境を見直す必要が生じたため、次年度以降に再度実験環境を再考したのちに購入することにしたためである。
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Research Products
(1 results)