2020 Fiscal Year Research-status Report
青年期成人の乳児の情動認知における生理的・心理的反応の解明
Project/Area Number |
18K03072
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
庭野 賀津子 東北福祉大学, 教育学部, 教授 (30458202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庭野 道夫 東北福祉大学, 感性福祉研究所, 教授 (20134075)
田邊 素子 東北福祉大学, 健康科学部, 准教授 (30513618)
茂木 成友 東北福祉大学, 教育学部, 講師 (50761029)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | fNIRS / 乳児の顔表情 / 青年期 / 脳活動 / 生理学指標 / 心理学指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、育児経験のない青年期成人において、乳児の顔表情から情動を認知する際の生理的・心理的反応について、認知科学的アプローチによって解明することを目的としている。言語獲得前の乳児の顔の表情は、養育者が乳児の情動を的確に判断し、その情動に対応した適切な養育行動を取る上での重要な情報となる。しかし、快・不快が明確ではない曖昧表情の場合は情動認知が難しく、育児未経験者の認知の仕方には生理学的・心理学的要因が影響すると考えられる。それらを解明するため、初年度である平成30年度及び2年目の令和元年度において、乳児の表情認知における青年期成人の脳反応と性格特性及び性別との関連を解明するための研究に取り組み、その成果の一部を令和2年度に5つの学会で発表した。令和3年度はこれまでに得られたデータの解析方法を再検討し、新たな解析方法を開発してこれまでとは違う角度から研究成果をまとめ、令和3年度中に海外の学術雑誌へ投稿する予定である。本研究の結果から、若年成人の乳児の感情顔から受ける生理的反応と個人の心理的特性との関連の新たな知見が得られることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度である平成30年度は若年成人の研究参加者40名分のデータを取り、分析を行った。研究の結果、育児経験の無い若年成人は、乳児の示す表情によって、脳の賦活する部位が異なること、また、不安傾向の強い若年成人は、乳児が泣いている場面を視聴するときと、泣いている乳児に話しかけるときとでは、脳の賦活部位が異なる事が明らかとなった。その成果の一部を、論文及び国内の2つの学会で発表した。2年目となる令和元年度は、平成30年度の実験と並行してNIRS及び心電図と皮膚電位を用いた、脳神経活動と自律神経活動の解明に向けた研究のデザインに基づく実験を50名の実験参加者を対象に実施した。また、性格特性との関連を調べるため、前述の実験参加者を対象に心理検査を実施した。計画通りに多くのデータを得ることができた。それらの成果を令和2年度に5つの学会で発表するとともに、論文3編にまとめた。また、令和2年度は、さらに実験を追加し、生理学的指標と心理学的指標の関連の解明に取り組む予定であった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、予定どおりに実験を実施することができなかった。そのため補助事業期間の延長を申請して研究を継続することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、これまでに得られたデータをもとに、ディープラーニングによって心理学的特性と生理学的特性の関連を予測するという、新たな研究に取り組んでいる。これらの成果は令和3年度中に国内の学会及び海外の学術雑誌へ投稿する準備を進めている。
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Causes of Carryover |
令和2年度は新型コロナウイルスの影響を受け研究参加者を大学内の研究施設へ招いて実験を行うことができなかった。当初は令和2年度分の実験データを含めたデータをもとに研究成果を複数の英文の論文にまとめ、令和2年度中に海外の学術雑誌へ投稿する予定であった。しかし令和2年度中は実験ができず、また、年度内に実験ができるか否かの見通しも立てることができなかったため、論文の執筆に至らなかった。そのため生じた次年度使用額を、令和3年度の英語論文投稿にかかる英文校正費用及び投稿料とする。
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