2018 Fiscal Year Research-status Report
幼児の食事行為の獲得と社会化-境界線を越える意味とおとなの支援
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18K03074
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
上村 佳世子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (70213395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 千夏 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (10352593)
加須屋 裕子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (60296291)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 食事行為 / 幼稚園 / 食スクリプト |
Outline of Annual Research Achievements |
2か所の幼稚園3歳児クラスにおいて、7月から3月までの8ヶ月間に渡り、月1回の給食時のVTR観察をおこなった。クラスの約束事や保育の枠組みと子どもたちの食スクリプトや食事に関する知識、会話への参加と、それに対する保育者の働きかけや支援を中心にデータ収集と相互行為資料の文字化をおこなった。 その結果、給食スクリプトは、この決まった時間と空間の制約のなかで保育活動を運営するための機能を果たしており、保育者はクラス全体でこれを共有するための働きかけをおこなっていた。7月当初は、子どもたちの多くは給食の配布や配膳、片づけの手順について十分に理解しておらず、保育者の指示や手がかり提示が必要であったのが、12月頃になると配膳やおかわり、片づけなどの手順を理解して、次の行為を見据えた参加ができるようになっていった。さらに、食事の量の調整やおかわり、食事中の会話についてはかなり自由に展開されており、各子どもが自分のスタイルに応じて主張、交流できる形をとっていた。 幼稚園における食スクリプトは、参加する子どもたちが場面を共有し、食事のマナーを獲得しながら完食を目指すための枠組みであることが示唆された。さらに、この枠組みは子どもたちの食事行為を形成すると同時に、それを越えて目の前の食事の採り方、次の行為の計画、会話における話題提供に至るまで、それぞれの子どもたちに応じた参加スタイルの許容を保証するものとして機能していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
観察方法やクラスの選定などの交渉に少し時間を要したため、観察を開始できたのが7月になり、かつ3歳児クラスから開始することになった。調査については、質問内容の選定までは終了たものの、研究者間でその内容の調整に時間を要したため、実施開始は次年度となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目はこれまでの2園において、3歳児および4歳児の各クラスの観察を月1回おこなう。観察方法は初年度と同様である。さらに、2~6歳児をもつ母親を対象にweb調査を開始する。
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Causes of Carryover |
次年度に観察対象クラスが倍になることを見越した、小型カメラとICレコーダの購入が次年度になってしまったこと、さらに、幼児をもつ親を対象とするweb調査の項目選定が遅れたために、開始が次年度になってしまったためである。
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Research Products
(1 results)